第3章 東卍の危機
「後でお仕置きな♡」
「勘弁して……」
笑顔のマイキーに頭を抱えるアタシ。
自分が女である事を利用した作戦は、総長のお気に召さなかった以上に、怒りを買う結果になってしまった。
わかってたから隠したんだけどね、バレたね、泣きたい。
「オイ」
「!」
長内の低い声を聞いて、アタシの思考は現状に戻る。
アタシ達から蚊帳の外にされてた長内は、何故かタケミっちの方へ向かっていて……
「テメェ、何さっきからジロジロ見てんだよ?」
「え?…いやっ…」
ゴッ
「!タケミっち!」
イチャモンつけながら、タケミっちを拳で打ち抜いた。
「オマエ、今見下したな?」
ゴッ
「そういう目が一番キライなんだよ」
ゴッ
アタシが煽ったせいか、長内は鬱憤を晴らすように何度もタケミっちを殴る。
「やめっ」
グッ
止めに向かおうとするアタシを、マイキーの手が抑え込んだ。
「マイキー⁉︎タケミっちが…」
腕の力は緩めず、マイキーはアタシに「だいじょーぶ」と言って笑う。
アタシが再度長内に目を向けると……
ガッ
長内が振り上げた腕を、パーちんが止めていた。
「テメェの相手はオレだよ、コノヤロー」
「パー…」
「な?」
アタシは振り解こうと体に入れてた力を抜いて、マイキーに「うん」と頷き返す。
もう、アタシの出る幕じゃない……ここからは、パーちんの喧嘩だ。
「……ッだ…めだ、パーちん…メビウスとモメちゃ…」
ドッ
パーちんがタケミっちを突き飛ばし、タケミっちは力なく尻餅をつく。
「引っ込んでろ」
パーちんの目は、真っ直ぐ長内に向けられていた。
ペーやんが、タケミっちのそばに蹲み込む。
「パーちん舐めんなよ、花垣」
「…ペーやん…」
「パーちんは、東卍でもバリバリの武闘派。一人で突っ込んでチーム一個潰しちまうようなヤツだ。長内なんかにゼッテェ負けねぇ」
「……そういう事じゃ、ないんスよ」
アタシは、タケミっちの方に目を向けた。
(このままじゃ…)
結構殴られちゃったな〜、タケミっち……
(ドラケンが死んじまう‼︎アッくんが…ヒナが‼︎)
まぁ、首突っ込んできたのはタケミっちの方だけど……アタシのせいで申し訳ないなと思った。