第3章 東卍の危機
「あァ、そうだそうだ。女参謀ユウちゃぁん」
ニヤニヤと笑いながら、長内は紫煙を吐き出す。
「約束通り会いに来てやったぜ。嬉しいだろ?」
8月3日を待たずに奇襲かけといて、何ほざいてんのコイツ。
「ごめんね、マイキー」
アタシは長内の言葉はスルーして、背中越しにマイキーへ謝った。
「アタシが読み間違えた。まさかこんな事になるなんて……」
愛美愛主から「ギャハハ」と下品な笑い声が上がる。
「オイオイ、女参謀が怖がってんゾ!」
「泣いちゃう?泣いちゃう?」
「ギャハハハ!安心しろよー、優しくシてやっから♡」
その時、ゾク…とアタシは背中に悪寒が走るのを感じた。
…ヤバい、後ろでめっちゃマイキー怒ってる気配する!
「つーか今日の格好普通だな。あのエッロい服はぁー?」
「裸に剥いちまえばカンケーなくね?」
「オレらが勝ったら好きにしていいっつってたしなぁ♡」
これ以上アタシを煽るのやめてくれないかなー?漏れなくマイキー煽っちゃってるから!
「……ハァーッ」
もう一度深く息を吐き出して、アタシは思考を切り替えた。
長内と愛美愛主を、ムカつくまま怒りのまま相手にしちゃダメだ。
「……決戦、受けてくれると思ったんだけどな〜」
参謀なら、マイキーと東卍の事を一番に考えて行動しなきゃ。
「だって思わないじゃん?まさか愛美愛主が、こーんな臆病者の集まりだなんて!」
アタシが言ってやると、愛美愛主のヤツらの笑い声が止まった。
「……あ?」
長内の顔からも笑みが消える。
「こんな程度の相手なら、決戦なんて面倒な方法取らず、サッサと参番隊に突っ込ませてやりゃ良かったかも」
東卍(コッチ)はタケミっちを入れて6人、対する愛美愛主は50人……マイキーやドラケンが居るとはいえ、この戦力差で襲い掛かられたらタダじゃ済まない。
喧嘩あんま強くないタケミっちも居るワケだし、50人をまともに相手するっていう最悪の展開だけは回避しなきゃ。
「テメェ……今なんつった?」
こめかみに青筋浮かべながら、長内がアタシに近づいてくる。
アタシは挑発するように笑って、長内を煽るための言葉を続けた。
「散々アタシ達を下に見てたクセに、ホントは東卍とぶつかんのが怖かったんでしょ?」