第3章 東卍の危機
(え⁉︎あの長内!!?)
「…てめええ」
「君ぃ、2コ上なんだからよ。手前様ってえ言えよぉお」
憎き仇を前に、パーちんはブチ切れて、アタシが止める間もなく長内に向かって突っ込んで行った。
「オラァッ」
タケミっちを殴った時より鋭く、右の拳を振るう。
ブン ゴッ
長内は上体を逸らしてパーちんの拳を避け、体勢を戻すと同時にパーちんの顔面に拳を叩き込んだ。
「はい♡所詮中坊レベルぅー」
「パーちん‼︎」
(強えぇ!!!)
見事なカウンター……さすがに強い。
「〝東京卍會〟?名前変えろよ、〝中坊連合〟によぉ」
アタシ達の耳に、この倉庫を囲む複数の排気音が届く。
「なんか生意気な女に喧嘩売られちまったからなぁ」
長内が左手を上げ、パチンと指を弾いた。
「こっちから出向いてやったワケ♡」
それを合図に、倉庫の中へゾロゾロと愛美愛主の隊員達が現れる。
「ヤッちゃうぞヤッちゃうぞ♡」
「踊れよ中坊!!!」
「チャキーーン」
「ンだよ、ヒョロいのばっかじゃん」
数は……50くらいかな。
「嬉しいかぁ?女参謀ユウちゃんに、中坊連合のマイキーちゃーーん」
愛美愛主のヤツらは、ニヤニヤと笑いながらアタシ達を逃げられないように囲い込んだ。
「戦争だぁ♡」
(囲まれた⁉︎ヤベェ!!!どうしよう!!?)
どいつもこいつも邪魔ばっかり……
「あーー……」
アタシはなんか、すっごい泣きたい気分になった。
冷静に参謀やるって難しいね。
「中坊連合のマイキーちゃーん♡」
(やべぇ!!!東卍対愛美愛主の抗争が始まっちゃう!!!)
愛美愛主隊員50人がアタシ達を囲む中、総長の長内は煽るような声でマイキーを呼ぶ。
「……ハァーッ」
アタシは片手で額を抑えながら、深く息を吐き出した。
角材からマイキーが立ち上がり、長内と対峙する。
「中坊相手に、この人数で奇襲……イメージ通りのクソヤローだね、長内クン」
「あ⁉︎聞こえねえよ、チビ過ぎて」
長内の煽りに、愛美愛主から耳障りな笑い声が上がった。
アタシは、マイキーと長内の元に向かう。
「長内‼︎」
睨み合う二人の間に割り入るように、長内の前に立った。