第3章 東卍の危機
「タケミっち…」
「ユウさん…聞いてください!愛美愛主との抗争は──」
「アタシ達のこと、心配してくれてるの?」
「え…」
「マイキーに呼ばれて、集会に参加して、パーと愛美愛主の話を聞いて……自分も何かしなきゃ、って思った?」
今日の作戦会議の事は三ツ谷あたりから聞いたのかな。
「優しいね、タケミっち……その気持ちは嬉しいよ。ありがとう」
アタシはタケミっちに微笑んで…
「でもね……部外者が、東卍のやり方に口出すな」
すぐに表情を消した。
パーちんの怒りとは比べ物にならないかもしれないけど、アタシもタケミっちに腹が立ったから。
タケミっちが、「うっ」と息を呑む。
「愛美愛主にボコボコにされて、親兄弟吊るされて、大切な彼女の身も心も傷モンにされて……絶望の闇に叩き落とされた。パーの親友は、今も愛美愛主の影に怯えてる。毎日苦しんでる」
「!それはっ……」
「だから、愛美愛主を潰すの。中途半端なことはしない。徹底的に叩き潰す。二度とふざけたマネが出来ないように」
この決戦に、パーちんやアタシ達がどれだけの気持ちをかけてるか、タケミっちは知らない……
だから、軽々しく「止めて」なんて言えるんでしょ?
「愛美愛主潰して、長内ぶっ倒して、パーは親友に『もう大丈夫だよ』って伝えて、安心させてあげなきゃいけないの。一秒でも早く……闇から、光の中へ、戻って来られるように」
アタシは、タケミっちの胸ぐらを掴んで、引き寄せる。
「タケミっち……わかった?これは、ただの喧嘩じゃないの。アンタの根拠の無い感情論一つで、『止めて』なんて口にしていいモンじゃないんだよ‼︎」
タケミっちの目を睨みつけながら、アタシは強く言い放った。
シンと静まり返る倉庫の中、「……ユウ…」と呟くパーちんの声だけが聴こえた。
タケミっちは俯いて、言葉を失ってる。
「……今日はもう帰って」
アタシは、タケミっちから手を離した。
ガシッ
「!」
反対にタケミっちが、アタシの腕を掴む。
「ユウ…さん……」
タケミっちは声を震わせながら、顔を上げてアタシを見た。
「それでも…!」
「まだ言うの?」