第3章 東卍の危機
「愛美愛主との抗争、止めませんか?」
真っ直ぐにマイキーを見ながら、タケミっちはそう提案してきた。
「……は?」
いきなり何を言い出すのかと、アタシだけじゃなくこの場の全員が思ったと思う。
「この抗争は、根拠は言えないスけど、誰かが裏で糸引いてるんス」
「糸?それって……」
グイッ ズザァァ
「痛ってっ」
アタシが聞くより前に、パーちんがタケミっちの髪を掴んで引っ張り、彼を地面に引きずり倒した。
「テメー、ふざけてんじゃねーゾ?なあ?パーちん」
「消えろ。これ以上喋ったら殺す」
パーちんとペーやんが怒るのも、もっともだと思う。
「で…どう攻めるよ、愛美愛主」
パーちんに話の続きを促され、アタシは再度話そうと口を開いた。
「まず長内とは──」
「ダメっす」
「!」
そんなアタシ達にタケミっちは、まだ抗争を止めようと言葉を続ける。
「愛美愛主と抗争はダメっす…東卍はハメられてるんです」
パーちんは、タケミっちに向かって行き目の前に立つと、「立て」とタケミっちに言った。
言われた通りにタケミっちが立ち上がると、
「あ゙!!?」
ガッ
パーちんがその頬に拳を打ち込んだ。
ゴ ド ゴッ
「抗争はダメ!!?根拠は言えねえ!!?じゃあ誰が、オレの親友ボコったんだよ‼︎誰がソイツの女レイプしたんだコラ!!!」
「わかんねーっスよ!でもッ」
「!」
ガシッ
何度も殴られて尚引かないタケミっちを見て、アタシはパーの腕を掴んで止めた。
「パー、やめて」
「ユウ…オレは!」
「いいから!タケミっちから手ぇ離して」
アタシの目を見て、パーちんは舌打ちをすると、掴んでた胸ぐらから手を離した。
パーちんから手を離されて、タケミっちはドサッと地面に尻餅をつく。
アタシは自分が話す前に、マイキーを振り返った。
「…タケミっち、オマエの話はわかった」
マイキーは、タケミっちを見ながら、「愛美愛主とヤる」と冷たく告げる。
「!」
「オマエは、なんもわかってねえ。オレがヤるって決めた以上、東卍は愛美愛主とヤるんだよ」
その通り……そこに、他のヤツの言葉なんて要らない。
アタシは、タケミっちの前に膝をつき、彼と目線を合わせた。