第3章 東卍の危機
翌日、アタシは渋谷第二中学校の近くにある今は使われてない大型倉庫に向かった。
8月3日に迎える愛美愛主との決戦に向けて、今日はここで作戦会議をする。
倉庫に一番乗りしたアタシは、コンビニで買ったサンドイッチを食べながら、前にみんなが描いた壁の落書きを眺めつつマイキー達を待った。
サンドイッチを食べ終わった頃に、マイキーとドラケンが到着。
「ユウ、早いな」
「うん。昼ご飯食べたかったから早めに来た」
「和月、オレのどら焼きある?」
「あるけど、今食べんの?」
「食う」
マイキーがどら焼き食べ終わった頃に、パーちんとペーやんが到着した。
「揃ったな」
ドラケンがそう言ったところで、マイキーと一緒に座ってた角材の上から、アタシだけ立ち上がる。
「ユウ」
「うん」
マイキーに頷いて、アタシは口を開いた。
「アタシ達は、8月3日に愛美愛主とぶつかる」
ドラケンが、静かに頷く。
「パーの親友を嬲った長内を、愛美愛主ごとブッ潰す」
ペーやんが、強く拳を握りしめた。
パーちんはポッケに手を突っ込んだ体勢で、両目をギラつかせてる。
アタシは、そんな二人の様子を認めながら、話を本題に移した。
「当日の作戦だけど、まず──」
「マイキー君‼︎」
──出鼻を挫かれた。
アタシの声をかき消す大声で、マイキーを呼びながら倉庫に現れたのは、タケミっちだった。
話遮られた文句を言おうと思ってたのに、アタシの頭の中は「何でここにタケミっちが?」という疑問に塗り替わる。
「どうした?タケミっち」
「今、大事な話してんだ」
マイキーは穏やかに聞き返したけど、ドラケンは厳しく返す。
「またテメーか」
「引っ込んでろ、カス」
パーちんとペーやんに至っては完璧邪魔者扱いで、二人してタケミっちを睨みつけた。
「……マイキー、今日タケミっちも呼んだの?」
「呼んでねぇけど」
「だよねぇ」
アタシがチラッとドラケンを見ると、ドラケンも首を横に振る。
呼ばれてないのに……というか、そもそも何でアタシ達がここに居るって知ってんだろ?
ここまで走ってきたのか、タケミっちは息を切らしながらこちらに向かってくる。