第2章 参謀の仕事
一番手っ取り早いのは、総長である長内にタイマンで勝つ事だけど……自分の手を汚さず部下に堅気を襲わせるような男が、大人しくタイマンに出てくるかどうかは怪しいところ。
そこまで考えたところで、アタシはかぶりを振る。
「いーや!絶っ対にタイマンは張らせる!」
自分に言い聞かせるように、大きく言い放った。
「パーと約束したんだから。長内をタイマンに引っ張り出す……それがアタシの仕事でしょ」
キッチンに行って、水を飲む。
その後アタシは、宣戦布告を済ませた事をマイキー達に知らせようと携帯を手に取った。
それとほぼ同時に、携帯へ着信が入る。
「!」
マイキーからだ。
アタシは通話ボタンを押して、携帯を耳に当てた。
「マイキー?」
《和月、今どこ?》
「家(ウチ)だけど…さっき帰ってきたところで──」
《会いてえ》
愛美愛主について聞かれるかと思ってたアタシは、マイキーの言葉に一瞬止まる。
電話越しに聴こえるマイキーの声は、今朝より元気がないようだった。
「わかった」
アタシは通話をスピーカーフォンに切り替えて、寝室に向かった。
「アンタ今どこにいんの?」
《いつもの公園》
急いで服を着替える……派手派手ファッションはもううんざり。
「すぐそっち行くから、待ってて」
《うん》
アタシは家から出ると、近所にある公園に向かって走り出した。
数分かけてたどり着くと、すぐにマイキーの姿を見つける。
マイキーは、夏らしい甚兵衛姿で、足伸ばしてベンチに座ってぼーっと空を見上げてた。
「マイキー」
「!」
「会いたいなんて、何かあった?今朝も会ってンのに……」
アタシを見るやいなや、マイキーはパッと立ち上がってアタシの方に向かってくる。
「ちょっ!今汗かいてるからくっ付くのは──」
なんて止める言葉は無視で、マイキーは遠慮なくアタシに抱きついてきた。
「帰ったんならすぐ連絡しろよな」
「ごめん、考え事してたから……」
話しながらアタシは、マイキーから離れようと身を引く。
けどマイキーはそれを許さず、アタシの腰と背中に腕を回して更に密着してきた。
「はーなーれーろー!」
「ヤダ」