第2章 参謀の仕事
「ねぇ、もうホントに出ないとだから」
「ちゅー」
「……あー、もう」
しょーがないとアタシは、マイキーの頬に触れて顔を上げさせ、その唇に軽く触れるだけのキスをした。
チュッというリップ音が一つ鳴ると、マイキーがパッチリと目を開く。
「もっかい」
「キリがないからダメ」
アタシは、首からマイキーの腕を外して立ち上がった。
ガシッ
「気を付けろよ、和月」
離れるアタシの手を掴んで、マイキーはジッとアタシを見つめる……寝ぼけ眼とは打って変わった、真剣な目だった。
「オマエはオレのモンだ。勝手に怪我して帰ったら許さねぇからな」
「……うん。わかってるよ」
アタシが答えると、マイキーはゆっくりと名残惜しそうに手を放した。
「じゃあ行ってくるね。アンタが出る時は戸締り忘れないでよ」
そう言い置いて、アタシは玄関に向かい家を出る。
「圭介もう着いてるかな〜」
時間ギリギリ……神社まで走らなきゃ。
外に出て門扉を閉じて、アタシは走り出した。
◇◆◇◆
武蔵神社前の駐車場に着くと、やっぱり既に場地は到着していた。
「圭介〜」
アタシが声をかけるとイラついた様子の場地と目が合って、思いっきり睨まれる。
「テメェ、ユウ!オレを待たせるとは良い度胸だな」
「ごめーん」
遅刻常習犯の場地は待たされるのには慣れてないからか、余計にイライラしてるっぽい。
「マイキーが中々離してくれなくてサ」
アタシが笑いながら話すと、場地は「オエッ」と嫌そうな顔をした。
「オレの前でノロケんなよ、気色悪ぃ」
「別にノロケたつもりはないけど……圭介にだから言えるんじゃん」
こんな話、ドラケンにだって話しにくい。
マイキーやアタシを昔っから知ってる、幼馴染の場地にだから話せる事だ。
「調子の良い事言いやがって」
「聞いてよ、大親友〜」
なんて言って擦り寄りながら、アタシは首に貼った絆創膏を指差す。
「マイキーったら酷いんだよ⁉︎痕つけンなって言ってんのに、ここ!アタシが寝てる間に残してんのアイツ」
「愛されてんじゃねーか。良かったな」
「良くない!こんなんあったら特攻服着た時カッコ悪いじゃん」
場地は面倒臭そうな顔で、愛機の方に歩いてく。