第2章 参謀の仕事
パーちんとペーやんに三ツ谷が怒鳴り返したところで、「オイ、パー‼︎」とドラケンからも怒鳴り声が上がった。
「黙ってろ」
「……ちっ」
「ごめんドラケン!」
流石の二人も副総長には逆らわず、パーちんとペーやんは元いた位置に戻って行った。
「立てる?タケミっち」
「あ…は、はい」
アタシはキヨマサの時と同じように、タケミっちに手を貸して彼を立ち上がらせた。
「ウチのパーちんがごめんね!後でアタシからキツく言っとくから」
「許してやってくれよ、タケミっち」
アタシとドラケンがパーちんの代わりに謝ると、タケミっちはパーちんの方を見ながら「無茶苦茶な人っスね」と素直な感想を口にした。
「パーは、今気ィ立ってるからよ」
ドラケンはそう言って、三ツ谷に目配せする。
三ツ谷は頷いて、再度タケミっちの為の説明を始めた。
「〝愛美愛主〟の頭は長内って奴なんだけど、ちょっとした事でパーの親友とモメてな」
アタシは、石段の上へと戻る。
「パーの親友は、愛美愛主のメンバーに袋叩きにされて、更に目の前で彼女レイプされて、親兄弟吊るされて、金巻き上げられて……で、藁にもすがる思いでパーに相談してきたんだ」
背中越しに三ツ谷の声を聞きながら、アタシはまた怒りに胸がざわつくのを感じた。
「そんなん、ガキの喧嘩じゃねえだろ?胸糞悪ぃ」
「……ひでぇ…」
「愛美愛主は、そういうチームなんだよ」
厳しい顔をする三ツ谷に、タケミっちも表情を強張らせた。
(…そっか、現在(いま)の東卍みたいだな)
早る気持ちは押さえて、参謀として冷静に、アタシは顔を上げて前を見る。
「参番隊隊長・林田春樹、総長の前に」
アタシが呼ぶと、パーちんは石段を2段だけ上って、膝に手をつきマイキーへ頭を下げた。
「どうする?パー」
マイキーが、パーちんに問う。
「ヤる?」
「…相手は2つ上の世代だし、東卍(ウチ)もタダじゃすまないし、皆に迷惑かけちゃうから……」
隊長らしく、みんなを気遣って答える…
「でも…悔しいよ、マイキー」
パーちんの目には、涙が浮かんでいた。
「んな事聞いてねえよ」
マイキーは、気遣いや慰めの言葉は一切口にしない。