第10章 10月31日
「要するに、東卍の男がコワイから女のアタシで楽に手柄立てたいって事でしょ?ホントに、大した幹部たちだこと」
ピキッとこめかみに青筋立てて、バルハラの隊員達はわかりやすくキレる。
挑発一つで簡単に崩せるような雑魚共に、負けるアタシじゃない……
それに、アタシに集まった人数分、味方の負担を減らせるのは望むところだった。
アタシは、自分の胸元に手をやり特攻服に手をかける。
一つ一つボタンを外して特攻服の前を開け、自分の肌を晒した。
「ホラ、サッサとかかってくれば?」
コイツら全員ボコして、場地の居所を聞き出してやる!
◇◆◇◆
「だああああ!!!やってやるぞバカヤロー‼︎」
「!タケミっち……」
遠くから、タケミっちのよく通る叫び声が聴こえた。
(やらなきゃ。ここを乗り越えなきゃ)
新人のタケミっちだって覚悟決めてやってんだ……アタシも負けてらんない。
(最悪の未来を変えないと‼︎)
ド ドッ バキッ
「何だこの女⁉︎」
「こんな強えなんて聞いてねーぞ⁉︎」
次々と襲いかかって来る芭流覇羅を、アタシは休みなく蹴散らして行った。
ドゴッ
「ぐっ…‼︎」
「はっはー‼︎所詮女なんざ──」
スパンッ
「がっ⁉︎」
アタシの頭に一発入れてイイ気になってた男の頬を、思いっきり蹴り飛ばした。
さすがに敵の数が多過ぎて、敵の攻撃を喰らってしまった事に、苛立って舌打ちする。
「………」
倒しても倒しても、芭流覇羅は次々と加勢して来て、アタシを取り囲む敵は一向に減らない。
それどころか加勢する敵の動きに押されて、アタシは味方の側から随分と離されてしまっていた。
乱戦とはいえ、この状況はマズイな……一旦退いてみんなの近くまで戻るか……
「余所見かましてんじゃねーぞゴラァ‼︎」
ブンッ
「っぶな!」
後ろにいたヤツが鉄パイプ振り回して来たのを、アタシはすんでのところで避ける。
「ウラあぁ‼︎」
次に横から殴りかかって来たヤツの拳を、上に逸らして腹に膝蹴りを決めた。
ドッ
「‼︎」
けど、その次の攻撃は躱せなかった。