第10章 10月31日
ガッ ドッ
「がっ」
アタシは相手の拳を受け止めて、懐に踏み込みソイツの腹を蹴り飛ばした。
「いたぞ‼︎女参謀だ」
次の相手に目を向けて、アタシはピタッと止まる。
「抜け駆けしてンじゃねえゾ‼︎」
「囲め囲め‼︎」
「…………は?」
芭流覇羅の隊員達が、アタシを取り囲んだ。
これだけならよくある事だけど、数が多過ぎる……アタシを見つけたヤツらが、次から次へと輪に加わってる。
全員がギラついた目、ニヤついた表情、鉄パイプやらナイフやらの武器持ったヤツまで居る。
「この人数だ。逃げ場はねぇぞ」
「悪く思うなよ姫さんよぉ」
「クソヤロー共が……」
アタシを囲む敵を見回しつつ、アタシは気になった事を芭流覇羅側に問う。
「さっき、“抜け駆け”っつってたけど、何?アタシに懸賞金でもかけてンの?」
芭流覇羅のヤツらが、汚い声をあげて笑い出す。
「東卍の参謀を潰しゃあ、芭流覇羅の幹部にしてもらえるって話だ」
「参謀っつっても女一人‼︎ウメー話だよなぁ」
「へぇー、それはまた……“安く”見られたもんだね」
バキッ
「ぐぁっ‼︎」
「「「‼︎」」」
話してる間に、アタシの背後から襲いかかって来たヤツがいた。
アタシは、気付かないフリして前見たまま、ソイツの顔面に裏拳を叩き込んだ。
ソイツは、潰れた鼻から血を吹き出して体勢を崩す。
ドッ
「ガハッ」
「うわぁ⁉︎」
アタシは続けて回し蹴りを繰り出し、ソイツもろとも他の隊員数人をまとめてぶっ飛ばした。
「芭流覇羅の幹部“如き”が、東卍の参謀に勝てるって?アタシを舐めンなよ、雑魚共」
「あ゙あ⁉︎」
「んだとこのアマ──」
ゴッ
左手側の隊員一人の顔面を打ち抜いて、ついでに後ろのヤツらも薙ぎ倒す。
「うぶっ」
「ぎゃあ」
うん、これぐらいなら余裕だ。
アタシは笑って、次の相手に目を向けた。
どいつもこいつも誰がアタシを討ち取るかって躍起になってて、囲んでようが統率もクソもない。