第9章 参謀の策略
「以上。この決まりを破って重傷負ったバカには、後日アタシがトドメ刺しに行くからそのつもりで」
「「「……‼」」」
誰も何も言わないけど、隊員達が息を呑んだのはわかった。
この脅しをかけると決めてたから、先に話させてもらったんだよね。
「次に、総長から」
アタシは後ろに退がり、代わりにマイキーが前に出た。
「みんな、よく集まってくれた!」
決戦を前にピリついてる空気を感じながら、みんながマイキーの話に耳を傾ける。
「明日、オレ達は芭流覇羅とぶつかる。売られた喧嘩だ。オレらに得るモノはねぇ‼…そして、敵の中には場地もいる!」
──今日の昼間、千冬とタケミっちの二人が場地と会いに行ったらしい。
「裏切り者には容赦しねぇ‼︎それが東卍のやり方だ‼︎」
「もう、止めらんねぇんだな…タケミっち」
「………」
千冬とタケミっちが何を話したのかは知らないけど……結局、場地を連れ戻すことは出来なかった。
「………」
「…ん?」
容赦しないと宣言したところで、何故かマイキーは無言になった。
沈黙する総長の様子に、隊員達も首を傾げ始める。
「………オレ、ガキになっていーか?」
「!」
「へ?」
「は?」
アタシが驚きマイキーを見ると、マイキーはその場にスッと腰を下ろした。
隊員達と目線を近くして、総長が次に放った言葉には、隊員の誰もが驚愕した。
「オレは、場地(ダチ)とは戦えねぇ」
「「「!!!」」」
アタシだって驚いた、けどその言葉は当たり前のように胸に落ちた。
マイキーをよく知るドラケンや、隊長達は、分かっていたように笑ってる。
「それがオレの出した答えだ!!!」
マイキーは立ち上がって、隊員達に一層強く宣言した。
「みんな力を貸してくれ!!!」
アタシは、込み上げてくる感情をグッと堪える。
ツンと鼻が痛くなる感覚に、思わず苦笑してしまう。
「明日、オレらは芭流覇羅をぶっ潰して、場地を東卍に連れ戻す‼︎」
(……………マイキー君……‼︎)
「それが、東卍(オレら)の決戦だ!!!」
「「「ワアアアアアアア」」」
歓声と共に、隊員みんなが拳を突き上げた。