第9章 参謀の策略
「この抗争でアイツに勝っても、負けても、オレは笑えねーよ」
「……うん」
アタシは頷いて同意を示した。
ドラケンはそれを認めながらも、「だが」と続ける。
ここには居ない一虎を睨むように、その目を鋭いものに変えた。
「やんならトコトンだ。一虎(アイツ)がマイキーを勝手な理由で恨んでンのは、許せる事じゃねーからな」
「アタシだってそうだよ。絶対に、一虎はブッ飛ばしてマイキーに謝らせる」
「いや──」
「ん?」
いや?……って何が?
「ユウ、オマエは一虎に近づくな」
「!」
「アイツは、オマエを狙ってる」
「……何?一虎に脅されでもしたの?東卍のドラケンがやけに弱気じゃん」
「オイ、オレは真剣に──」
そういえば、アタシも一虎に会った時「参謀辞めろ」って言われたっけ。
──「辞めねーなら、オレはマイキーの目の前でオマエを──」
「〝潰す〟?〝殺す〟?……それとも〝犯す〟かな?いずれにしろ、“その程度”の脅しでアタシが怖気付くと思ってンなら大間違い」
アタシは、ドラケンに向かって強気に笑って見せた。
「女のアタシが的にされンのだって、いつもの事でしょ。今更そんな心配する必要ないワ」
「………」
「それに、一虎が狙ってンのはアタシじゃなくてマイキーでしょ」
一虎が、ホントにアタシを狙ってるなら、芭流覇羅のアジトでヤれば良かった話……実際、場地に止められたとはいえ、一虎はアタシを殴ろうとしたワケだし。
一虎は、一番の目的がマイキーだから、アタシを殴るより東卍との決戦を優先したんだと思う。
つまり、芭流覇羅との決戦で一虎は、間違いなくマイキーを狙ってくる。
「一虎がマイキーとタイマン張って、追い込まれれば、アタシを人質にしようとするなり、手ぇ出してくる可能性は確かにあるけど……」
アタシは、まーだ難しい顔してる副総長の眼前にビシッと指を差す。
「そもそも、そんな余裕持ってられるほど、マイキーとのタイマンは甘くない。それはケンもよくわかってるでしょ」
「!……そりゃ、確かにそーだ」