第9章 参謀の策略
「……何度も、考えてた。……アタシは、何の為にあの場にいたの?って」
「………」
「真一郎を目の前で殺されて、どうして何も出来なかったんだろうって……親友が罪を犯してしまうのを、どうして止めれなかったんだろうって」
また、マイキーの腕がアタシの体を抱き締めた。
「オレも、真一郎も、そんな事思ってねえよ」
「……わかってるよ。これは、アタシの勝手な後悔だから」
責めるのも、許せないのも、全部アタシ自身。
「だから……例え真一郎が許してくれても、マイキーが許してくれても、止まんないと思う」
マイキーは、一層強くアタシを抱き締める。
「……オレでも、止めらんねぇの?」
「ん……でも、こうやって抱き締めてくれてると安心する」
「いつでもギューッてしてやる」
腕を緩めたマイキーと、顔が向かい合い目が合った。
「だからもう、一人で泣くのはナシな」
マイキーの手がアタシの頬に触れ、涙の痕に指を滑らせる。
くすぐったさにアタシが目を瞬かせると、マイキーの顔が近づいてくる。
アタシが目を閉じるとすぐに、唇が重ねられた。
「……オレも、和月と一緒に居ると安心する」
額を合わせて、マイキーはそんな事を言ってきた。
「ん、知ってる」
照れるような事じゃない、だってマイキーがよく言う事だから。
「場地を連れ戻して、芭流覇羅も潰したら」
「?」
「よくやったな!って、真一郎が褒めてくれる気しねぇ?」
マイキーは、アタシの目を見つめてニッと笑った。
「そしたら、和月ん中の後悔も少しはなくなんだろ」
「!……」
参謀なら、「アタシの事より自分の事考えて」って言うべき。
アタシばっか弱音吐いたけど、アタシよりマイキーのが辛いハズなんだから……けど、今のアタシには優しさが染みてきて、
「……ありがとう、マイキー」
多分顔も赤くして、アタシはマイキーに笑い返した。
「アタシ、アンタのそーいうトコ好き」
「‼︎」
グイッ
マイキーの腕がアタシの腰に回って、自身に引き寄せる。
「もっかい言って!」
「嫌だ」
それから抜け出すのに苦労したもんだから、後で言わなきゃ良かったと少し後悔したりした。