第9章 参謀の策略
「………」
横を通り抜ける時に、ドラケンはチラッとアタシの方を見たけど、特に何か言ってくる事はなかった。
◇◆◇◆
──数分後
アタシがお墓に戻ると、そこにはマイキーとドラケンに加えて、タケミっちと千冬が来ていた。
何で2人がここに?……もしかして、マイキーが呼んだのかな。
そうでもなきゃ、2人が真一郎のお墓を知ってるハズないし。
「そっか、兄貴の話聞いたか…」
「!」
マイキーの言葉に、アタシは目を見開いた。
タケミっちが、昨日芭流覇羅のアジトで場地からあの日の話を聞いた事を、マイキーに伝えたらしい。
アタシは今更、口止めしとけば良かったと後悔する。
マイキーにまで思い出させるようなこと、したくなかった。
「かっけぇ人だったな、真一郎君」
「うん」
マイキーが、ドラケンの言葉に頷いたところで、チラッとアタシの方に目を向けた。
「!あ…」
「ユウさん」
アタシの存在に気付いたタケミっちと千冬に、アタシは軽く手をあげる。
マイキーが無言でじーっと見てくるから、アタシは仕方なくマイキーの隣に蹲んだ。
アタシが持ってる傘をマイキーに向けると、それまで差してくれてたドラケンは一歩後ろに下がった。
ドラケンは、後ろに居るタケミっち達の方を向く。
「タケミっち…オレらもわかってんだ。あの“事件”は、今更どうにもならねぇ。場地も一虎も、あんな事したかった訳じゃねぇ」
マイキーの手がアタシの手を握る。
アタシも、ギュッと握り返した。
──あの日、一虎と場地は、真一郎の店からCB250Tを盗み出そうとした。
1週間後に誕生日を控えていた、マイキーにプレゼントする為に。
当時のマイキーはバイクを持ってなくて、唯一持っていた原付きを、ある喧嘩の最中に壊してしまったばかりだった。
バイクはバブにしか乗りたくないというマイキーの、ワガママとも言えるこだわりを、みんなは呆れてたけど……