第9章 参謀の策略
「家に居ねーと思ったら、ここに居たんだな」
「ユウオマエ、マイキーに連絡ぐらいしてやれよ」
少し不機嫌そうなマイキーと、呆れた様子のドラケン。
アタシは驚くまま、湧いてきた疑問を口にする。
「な、何で、マイキーとケンがここに居るの?」
「それはこっちのセリフ!」
マイキーはぷくっと頬を膨らませて、ビシッとアタシに指を差す。
「何で和月がここに居んの?つーか、メールしたのに返って来ねーし電話も出ねーし、凄ぇ心配したんだかんな!」
「え?」
携帯なんて鳴ってたっけ?マナーにはしてないハズだけど……
アタシは自分のポッケに触れて、「あ。」と間抜けな声を出した。
「和月、携帯家に置いてっただろ」
「ごめん……忘れてた」
マイキーが、ポッケからアタシの携帯を取り出してズンズンとこちらに歩いてくる。
マイキーから「ん!」と差し出された携帯を、アタシは「ありがと」と言って受け取った。
たくさん届いてるであろう着信履歴とメール通知は、今は見るの怖いから後で確認しようと思う。
「……で?」
「ん?」
マイキーはアタシの隣に蹲んで、アタシの顔を覗き込んでくる。
「何で、和月一人でここに来てんの?」
「……お墓参り?」
「それは聞かなくてもわかるし!何でオレを呼ばなかったんだよ」
「一人になりたい気分だったから」
マイキーは益々不機嫌な顔になる。
「だから、何で」
「頭の中整理したかったの。真一郎に聞いてもらったら、スッキリするかなって思って」
詰問みたいな質問責めに嫌気がさして、アタシは膝に手をついて立ち上がった。
すかさずマイキーは、アタシの手をギュッと掴んでくる。
「どこ行くんだよ」
「トイレ」
アタシはマイキーの手を振り払って、「ついて来ないでよ」と釘を刺した。
「……逃げんなよ」
「はいはい」
眉間に皺を寄せるマイキーに、アタシはひらひらと手を振って、佐野家のお墓を後にする。