第9章 参謀の策略
「そっか、そうだよな……やっぱ、場地さんが東卍を裏切るワケないんスよ!きっと何か狙いがあって──」
「千冬」
アタシはバッと千冬の顔の前に手を伸ばして、話を遮った。
「悪いけど、圭介が裏切り者だって話は変わんないから」
「⁉︎でも場地さんはっ」
「総長(マイキー)の前で裏切りを宣言した」
「…‼︎」
千冬が、ぐっと口を噤む。
「アタシを殴った事を除いても、圭介がした事は簡単に許される事じゃない」
アタシが庇ってもきっと、ドラケンや隊長達は許さない。
マイキーが認めれば話は別だけど、一虎も関わってる今の状況じゃそれも難しい。
それに……
「アンタが言うように、圭介に何か狙いがあるんだとして……どうして、アイツはそれを隠してンの?」
「それは……!」
「言えない理由があるんなら、アタシ達が掛け合っても圭介は答えやしないでしょ……きっと、アイツは裏切り者でいる事をやめないよ」
アタシの話を聞いて、千冬はぐっと顔を歪ませ俯いてしまう。
「でも、このままじゃ……場地さんは、ホントに東卍の敵になっちまう…‼︎」
キツく拳を握る千冬を見て、アタシは一つ溜息を吐いた。
ったく、しょーがないな……
「あー、ゴホン」
「?」
アタシの態とらしい咳払いに、千冬は怪訝そうな顔をする。
アタシはそれに構わず、言いたい事を話し出した。
「隊長が裏切って、副隊長が負傷中の今、壱番隊をマトモに動かすのは難しいだろーね」
「………」
「芭流覇羅との決戦で壱番隊に前衛を張らす事は出来ないし、しばらくは壱番隊への指示はアタシが出す」
「…ッス」
千冬はコクリと頷く。
「……だから、千冬は好きに動いてて良いよ」
「!え…」
「アンタが圭介連れ戻したいなら、協力は出来ないけど止めないって言ってンの」
「‼︎」
パッと、また千冬の表情が明るくなった。
わっかりやすいヤツ。
「ありがとうございます‼︎オレ、絶ッ対ェ場地さん連れ戻して見せるんで!」
「あーうるさいうるさい。アタシは裏切り者に鉄槌下したいだけだから、仲間として戻って欲しいなんて思ってないから」