第9章 参謀の策略
「!そんな…」
「だから半間も一虎も、今日あの場でアタシが仕掛けた喧嘩に乗るワケには行かなかったんだよ。自分らの計画を邪魔されんのが、よっぽど嫌なんだろーね」
「じ、じゃあ……このまま決戦なんかしたら、抗争は向こうの思う通りになっちまうって事じゃ…⁉︎」
「させるワケないでしょ」
「でもっ」
「“でも”じゃない。アタシがさせないつってンの」
ビシッ
「痛っ!」
心配性なタケミっちにデコピンをお見舞いして、アタシはズイとタケミっちに顔を近付ける。
「ねぇ、タケミっち」
「!は、はいっ⁉︎(近いっス‼︎)」
「何で芭流覇羅のアジトに行ったの?」
「え゙」
アタシはニコッと笑いながら、更にタケミっちへ迫る。
「アタシ言ったよねぇ?一虎は危険なヤツだから、もし会ったらすぐ逃げろって」
「えーっと…」
タケミっちは冷や汗かきながら、ゆっくりと後退る。
当然、アタシは追い詰める。
「前々回の集会で注意した時はビビってたクセに、一虎に絆されでもしたの?一見、人懐こそうなヤツだもんね」
「前々回の集会……あ゙っ!」
「それにしたって、参謀の忠告無視して敵陣ど真ん中に出向くなんてねぇ……新人が、舐めたマネしてくれんじゃん。アタシを困らせて楽しい?」
(違うんです!その時のオレは過去のオレであって、今のオレじゃないんです!)
タケミっちはブンブンと首を横に振った。
言い訳する余裕もないビビリよう、逆によく芭流覇羅のアジトなんて行けたな、と思う。
「マイキーに頼まれた事だし、圭介連れ戻す為だったんだろうけどさぁ……東卍と芭流覇羅がバチバチにヤリ合ってる中で、敵のアジトに行く?普通」
ガッ
「うわぁっ」
そのうちタケミっちは足がもつれて、その場にドサッと尻餅をついた。
ドッ
アタシは強く地面を踏み鳴らして、タケミっちの目の前に立つ。
アタシを見上げる涙目を、ジロッと冷たく見下ろした。
「今日のアンタの無謀な行動の為に、参謀と伍番隊が動いた。千冬の事は想定外だったけど、アンタまで怪我負わされてたら、マイキーがブチ切れてたかもね。そしたらきっと、抗争は激化してたよ」