第2章 参謀の仕事
アタシは、ここには居ない敵を見据える気持ちで、キッと前を睨みつけた。
「愛美愛主……長内信高……」
アタシの仲間を傷付けた……そのツケは、必ず払わせてやる。
「絶ッ対に潰す‼︎」
◇◆◇◆
パーちん達と話してから数日が経ち、約束の集会の日になった。
アタシは、放課後すぐ学校から家に帰って、お風呂で汗を流し、その後軽く食事を済ませた。
寝室に行って、壁にかけてある東京卍會の特攻服を手に取る。
黒のズボンを履いて、白いベルトを締める。
黒の上着に袖を通して、ボタンを上まで留めた。
「あー、アッツい」
本当は上着の前開けてたいけど、そうするとマイキーが怒るんだよね〜。
髪を一つに纏めてお団子ヘアにしたところで、家に近付いてくる重低音が聴こえた。
「来た来た」
アタシは携帯を掴むと、玄関に向かい、ブーツを履いて外に出た。
重低音の鳴る先、家の前にはバイクに跨ったマイキーの姿。
「マイキー、お迎えありがとね」
「ん。」
アタシがバイクを持ってないから、集会の時間が夜だからって理由で、マイキーはいつもアタシを家まで迎えに来てくれる。
そんなマイキーも、今は東卍の特攻服(トップク)姿。
アタシには前開けんなとか言っといて自分は全開なの腹立つけど、やっぱりマイキーの特攻服姿はカッコイイなと思った。
「お、髪上げてる」
マイキーがアタシの方に手を伸ばして、普段は髪で隠れてる首筋をスルスルと撫でた。
「スベスベ♡」
「くすぐったいからヤメテ」
その手を剥がして、アタシはマイキーの後ろに跨る。
「今日は暑いからお団子にしたんだよ」
ダメ元で「アタシも服前開けたいなー」って言ってみたら、マイキーは勢い良く振り向いて「ダメだ!」って反対して来た。
「だって和月、その下ブラしか着てねぇじゃん。オレ以外のヤツが和月の肌見るとか絶対許さねぇ」
「ブラじゃなくてチューブトップなんだけど」
「どっちにしろダメだ!」
嫉妬魔め。
「ハイハイ。言う通りにするから、早く出発して」
アタシの返事を聞いて、マイキーは(まだ不機嫌顔だったけど)バイクを発進させた。