第2章 参謀の仕事
パーちんの代わりに、ペーやんが答えた。
「敵は、愛美愛主の全部だ」
「それって……」
「パーちんの親友(ダチ)をヤったのは、愛美愛主総長、長内のヤローなんだよ‼︎」
「‼︎」
ペーやんの答えに、アタシは驚きのあまり目を見開いた。
愛美愛主八代目総長・長内 信高……アイツが、パーの親友を……
「……わかった」
愛美愛主の隊員一人との揉め事じゃなく、愛美愛主そのものが相手になるなら、これはもう東京卍會の問題だ。
「!じゃあ……」
期待の目を向けるパーちんを、アタシは手を突き出して制止する。
「続きは次の集会で話そう。それまで、二人とも待機ね」
「!んな悠長な事…‼︎」
「今は、パーもペーも頭に血が上ってるんだよ。一旦、冷静になる時間がいる。アタシも考える時間が欲しいし……」
アタシはパーちんの手を離して、両手上げてそれぞれパーちんとペーやんの眼前にビシッと指を差した。
「次の集会まで待機命令!絶対に、先走ったりしないこと!」
「でも……」
「そしたら、必ずパーの望み通りにさせてあげるから!…いい⁉︎」
少しの間をおいて、パーちんは「ハァーッ」と深く息を吐く。
「……わかったよ、ユウ。オマエの言う通りにする」
パーちんは、そう答えてくれた。
少し冷静さを取り戻したその様子を見て、アタシもほっと息を吐く。
「他のみんなには、アタシから伝えておくから」
「ああ」
「ペーがストッパー役だからね。頼んだよ」
「おう、任しとけ」
二人に「じゃ!」と手を振って、アタシは踵を返して歩き出した。
ここまで来るのに全力疾走して疲れたけど、走る前より胸の中は落ち着いてる。
アタシは、東卍の全メンバーに向けてメールを打った。
パーちんの親友が愛美愛主にヤられたこと、パーちんの意思、次の集会の日時再確認、それと待機命令の文言。
喧嘩っ早いヤツも多いから語気強めに書いて、アタシはメールを一斉送信した。
「ふぅー」
次はマイキーとドラケン、パーちん以外の隊長達に電話して……
あと、作戦も……詳しい話を決めるのは集会でだけど、考えられる事は考えとかないと……
やる事盛りだくさんでも、嫌な気はしなかった。
寧ろ、気持ちがはやる。