第2章 参謀の仕事
「アタシはこのままパーのトコまで話聞きに行くけど、アンタはまだ動かないで」
《………》
「マイキー?」
マイキーが一つ息を吐く。
《……そうだな。みんなと話すのは次の集会でいいか?》
「うん、それで充分だと思う。後でまた連絡するから」
《ああ。…パーを頼む》
「任せて」
マイキーとの通話を終えても、アタシは携帯を握り締めたまま走り続けた。
「パー……」
お願いだから、一人で先走ったりしないでよ…!
◇◆◇◆
全力疾走で向かった先は、渋谷第二中学校。
パーちんと、参番隊副隊長の林 良平ことペーやんと、弐番隊隊長の三ツ谷、他にも隊員の何人かが通ってる。
声が聞こえて、学校裏にある道に行くと、暴れるパーちんと、そんなパーちんを羽交い締めにしてるペーやんを見つけた。
「パー‼︎」
「!ユウ」
パーちんとアタシの目が合う。
怒りと悔しさが綯い交ぜになったその瞳を見て、アタシは胸が締め付けられる思いがした。
「ペーやん、ありがとう。もういいよ」
「おう……」
ペーやんにパーちんを離させて、アタシは両手でパーちんの右手を握る。
暴れるのをやめたパーちんは、アタシの目を見つめる。
「話して……何があったの?」
「………」
パーちんは、ポツポツと、親友に何があったかを話してくれた。
その内容は……
「……酷い…‼︎」
こんな一言では表せない程、惨たらしいものだった。
少なくとも、パーちんの親友のような、善良な学生が受けて良い仕打ちじゃない。
彼だけでなく、その親や兄弟、恋人まで……
「ユウ……オレぁ、怒りでどうにかなっちまいそうだ」
アタシの手の中で、パーちんの手が震えてる。
パーちんは、反対の手で目元を押さえながら俯いた。
「アイツが…泣いてる声が、頭から離れねーんだよ…‼︎」
「うん……」
パーちんはやっぱり、親友の為に戦いたいって思うよね。
「……それで、相手は?誰かわかってるの?」
パーちんが顔を上げて、アタシを見る。
「名前がわかれば、アタシが愛美愛主に話つけて、相手のヤローを引っ張り出して──」
「…全部だ」
「え?」