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【東京卍リベンジャーズ】One Heart

第8章 不審の隊長


「圭介…東卍を辞めるなんて何考えてンの?それも芭流覇羅に行くなんて、まさか本気で」


「本気だ」


「っ!」


迷わず発せられた言葉に、アタシはまた拳を握り込んだ。


カッとなって怒鳴ったんじゃ、ここまで追った意味がない。


落ち着け落ち着け、冷静に……ちゃんと話さなきゃ、向き合えないでしょ。


「何で……何で、よりによって芭流覇羅なの」


「…言わなきゃわかんねーか?」


場地はまた、アタシを馬鹿にしたような笑みを浮かべる。


「アタマの良いテメーにはもうわかってンだろ?なぁ、女参謀」


「………」


考えたくない答えだった。


愛美愛主や半間を嫌悪してた場地が、自ら芭流覇羅に行く理由なんて……そんなの、一つしかない。


「一虎の為に……?」


場地は、かつての仲間の為に、芭流覇羅に行くんだ。


「わかってンじゃねえか」


場地の表情から笑みが消える。


「2年前のあの時から、テメーらを仲間だと思った事は一度もねえ」


「!」


冷たい声が響く。


「オレの本当の仲間は、一虎だけだ」


「……嘘」


アタシは、アタシが思ってる以上にショックを受けたらしく、やっと言い返せたのはこれだけだった。


「さっきから本気だっつってんだろ」


「………」


「オマエまさか、オレが本気で後悔して、反省してるとでも思ってたのか?」


2年前……一虎が、真一郎を殺してしまったあの事件……


場地は、一虎の共犯者だった。


「あんな“事故”なんざどーでもいいんだよ。オレが後悔してるとしたらそれは、一虎を一人で少年院に行かせちまった事だけだ」


それなのに、場地はあの事件を事故と言いのけた。


沸々とした怒りが、アタシの中に湧いてくる。


「オレは一虎のお陰で少年院に入らずに済んだが、一虎は入れられちまった……マイキーのせいでな」


「アンタまで何言って……」


一虎が言っていたのと同じ、マイキーに向けられた理不尽な恨みにも、怒りが募った。


「わかるか?オレは、一虎が戻ってくるのをずっと待ってたんだよ」


走ってた時より、アタシの息は荒くなる。


「一虎が戻って来た今、やる事は決まってる……オレは、アイツと一緒んなって──」


「やめて」


言わないで


「──マイキーを殺す」


「圭介ッ!!!」


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