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【東京卍リベンジャーズ】One Heart

第8章 不審の隊長


千冬が急ブレーキをかけなかったのは、後ろのアタシを気遣ってくれたからだろうけど……


ダッ


「ぅええ⁉︎ユウさん⁉︎」


ペケジェーが止まり切る前に、アタシはバイクから飛び降りて、右手の路地に入った。


「ごめん千冬‼︎」


乗り捨てみたいな扱いをしてしまった千冬に謝りながらも、アタシは場地に追いつく事だけを考える。


車は勿論、バイクも通れないぐらい狭い路地を突っ切って進む……


ここで先回り出来なきゃ、他に方法はない!


場地に追いつく為に、アタシは走り続けた。


「ハァッ…圭介っ」


ウンバァァ!


ゴキの排気音が聴こえる……“近づいて来る”排気音が。


バッ


狭い路地を抜け、アタシは表の道へ飛び出した。


「⁉︎テメッ」


左に目を向ければ、こちらに向かって走ってくるゴキが見えて、ヘッドライトに顔を照らされる。


逆光で見えにくかったけど、場地が驚愕してるって事は見なくてもわかった。


「やっと追いついた」


「バッッカ野郎が…‼︎」


キキィーッ


タイヤが地面を擦る甲高い音が、耳に響く。


場地はアタシにぶつかる前にブレーキをかけ、ゴキを少し手前で停車させた。


「オイ危ねえだろが!!!死にてェのか⁉︎」


「仕方ないでしょ⁉︎」


「あ゙⁉︎」


「圭介が逃げるのが悪い!」


言い切るアタシに、場地は「チッ」と舌打ちをする。


その後、場地はゴキから降りた……逃げるのは一旦諦めたらしい。


アタシは歩いて場地の方に向かい、彼の正面に立つ。


「ハァー、そもそも何でテメーがオレを追いかける?」


態とらしく溜息ついて、場地はアタシを馬鹿にしたように笑った。


「まさか、オレに何されたか忘れたワケじゃ──」


ガッ!


今心にある怒りのまま、アタシは場地の頬を殴った。


「忘れてないし、今返した。これでチャラにしてあげる」


アタシのただのパンチじゃよろけもしなかったけど、場地はギロッとアタシの目を睨んでくる。


「こんな事でアタシを遠ざけようなんて、考えが甘いんだよ。アンタがちゃんと話すまで、アタシはどこまででも追いかけるからね」


「ウゼェな。ストーカーかよ」


場地は、殴られた頬をポリポリと指で掻く。


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