第8章 不審の隊長
アタシと三ツ谷は話を切り上げて、銭湯から出て来るマイキー達を出迎える。
「タケミっち、いよいよだな」
さっきの話で心配してくれたのか、三ツ谷はタケミっちに声をかけた。
待ちくたびれてたスマイリーは、やっと出てきたマイキーに「主役のおでましだ」とちょっとした嫌味を口にする。
「え?」
「タケミっち、行くぞ」
戸惑ってるタケミっちを呼びながら、マイキーは神社に向かって歩き出した。
「新・参番隊隊長任命式だ‼︎」
「……へ⁉︎」
◇◆◇◆
───武蔵神社
「これより、東京卍會参番隊隊長任命式を始める!!!」
集まった隊員達に、ドラケンが大声で宣言した。
(東卍の参番隊隊長任命式‼︎)
「誰が任命されんのかな?」
「ペーやん?」
「それはねーだろ」
「ドラケン君襲った奴が隊長になる?」
「確かに」
稀咲について知らされてない隊員達は、みんなそれぞれ騒ついてる。
「本命不在…もしかして…いや、まさかな」
タケミっちも、少し緊張したような顔をしてた。
マイキーの後ろに退がったドラケンが、いつもの定位置に立つと、マイキーは隊員達の奥に目を向けた。
「参番隊隊長‼︎前に出ろ」
奥に待機してる、新参番隊隊長を呼ぶ。
(あれ…?マイキー君、オレの事呼んだ…?)
「誰?」
「誰だ?」
マイキーが隊員の方に目を向けた事に、隊員達はどよめいてた。
そのうち隊員達の奥から「どけ!」と間を割る声が響く。
隊員達はその声に目を向けながら、ぞろぞろと動き“二人”に石段までの道を開けた。
こっちに向かって、稀咲と新しい参番隊の副隊長が歩いてくる。
稀咲が副隊長に選んだのは、彼の部下でアタシに下手くそな尾行をしかけた濱田 忠臣という男。
「アイツが参番隊の新隊長?」
「デケぇ方?ちいせぇ方?」
「……ハハ、まぁオレな訳ねぇか…」
隊員達の間を抜けた稀咲は、最後にタケミっちの横を通って石段に足をかけた。
(あれ?)
タケミっちは、石段を振り向き稀咲をじっと見上げる。
(見た事ある…誰だっけ…⁉︎)
マイキーの前に立った稀咲と濱田が、隊員達の方へ振り返った。
ドカッ
何の躊躇もなく、稀咲は石段に腰を下ろした。
うわ、態度ワッル