第7章 総長と参謀
半間の強さ、嫌らしさを身をもって知ってるペーやんは、思い返して不快になったのか眉根を寄せて「チッ」と舌打ちをする。
「……とにかく!オレはもう納得してンだ。オマエはもっと堂々としてりゃいーんだよ!」
ビシッとアタシに指を差すペーやんに、アタシは思わずブッと吹き出した。
「アハハハハッ!」
「?何笑ってンだ」
「ハハハ!だって、さっき三ツ谷にも同じような事言われたから」
「あ゙⁉︎三ツ谷のヤローと一緒にすんなや‼︎」
「そこ怒るとこ?」
なんてツッコみながらも、アタシは呆れるより笑っていた。
ペーやんのよく分かんないトコでキレるガラの悪さに、安心させられる日が来るなんてね。
「──ユウ!!!」
「「!」」
その時、後ろから大きな声がアタシを呼んだ。
声で誰かはわかったけど、アタシは振り向いてから名前を呼ぶ……
「──圭介」
幹部会議の時と変わらない怒り顔で、アタシを睨みつけている場地を。
「場地…?」
会議中の事を知らないペーやんは、場地の様子に困惑してた。
幹部会議から怒るまま去って行った場地は、集会の時間になっても戻って来なかった。
ゴキも見当たらない、携帯にも繋がらないで、堂々とサボりやがって!と幹部はみんな怒ってる所だった。
アタシはペーやんを置いて、ツカツカと場地の方へ向かって行く。
「アンタねぇ、何集会サボってンの⁉︎」
場地の正面に立って怒鳴るアタシに、周囲の隊員達は騒ついた。
それに構わず、アタシは言葉を続ける。
「アンタがアタシに怒るのは勝手だけど、集会サボんのは違うでしょ⁉︎」
刹那
「隊長のアンタがそんなだと、隊員に示しが──」
ガッ‼︎
場地の鋭い拳が、アタシの頬に炸裂した。
「「「⁉︎」」」
ドッ
衝撃のままぶっ飛ばされたアタシの体は、後ろにいたペーやんに受け止められる。
「ユウ!」
アタシはペーやんの腕に支えられながら、何とか体勢を整えた。
頬には焼けるような痛みがあって、口の中には鉄の味が広がる。
アタシが「ブッ」と地面に唾棄すると、それには赤色が混じっていた。
くっそ、口ん中切れた……!