第7章 総長と参謀
アタシは、ペーやんを探して階段下の駐車場まで下りた。
「あ、ユウさん」
「参謀!お疲れ様です!」
声をかけてくれる隊員達に「お疲れ〜」と返しながら、アタシは辺りに目を走らせる。
「あ、居た。ペーやん!」
「!…ユウ」
ペーやんは、既に愛機のZ400FX(フェックス)に跨ってたけど、アタシが向かって来るのを見てバイクから降りた。
アタシは「帰る直前にごめんね」と謝りながら、ペーやんの前に立って彼の目を見上げる。
「……参番隊に新しい隊長を就ける事、事前に知らせなくてごめん」
「………」
「謝るついでに、ペーにだけ先に伝えておきたい事があるんだけど」
「?何だ?」
アタシが一歩近づくと、ペーやんは少し躊躇うような間を空けて……それでも、背を屈めアタシに耳を傾けてくれた。
アタシは小声で、ペーやんに告げる。
「新しい参番隊隊長は、元・愛美愛主の幹部、稀咲鉄太って男」
「!」
「長内と対立してたヤツだから、パーの親友の仇ってワケじゃないけど……」
アタシは一歩退がって、改めてペーやんの目を見つめた。
三白眼は明らかに動揺してるけど、ペーやんは何も言わない。
「……勝手に決めて、怒ってる?」
ペーやんは表情を変えない……無言のまま、首を横に振った。
それを見て、アタシは自分を咎めるように手を強く握り込む。
アタシのバカ……怒ってる?って怒るに決まってンじゃん!
ペーやんの立場考えたら、周りに隊員がいるこの場で正直に怒れるワケない!
「ペ、ペーの事信用してないとか、パーの居場所奪いたいとかじゃないんだよ。……ただ、これからの芭流覇羅との抗争を考えたら、今はこうするのが一番──」
「ユウ」
言い訳を重ねるアタシを、ペーやんの落ち着いた声が呼んだ。
「ンな説明しなくても、オレは別に怒ってねーよ」
「でも……」
「参謀のオマエが、そうした方が良いって考えて決めたんなら、きっとそれが正しいんだろ。一虎の事も、ドラケンから聞いたしな……それに、半間はヤベェ奴だ」
「……うん」