第7章 総長と参謀
アタシが一虎に再会した、その翌日───
学校での授業中、アタシはずっと芭流覇羅との抗争について考えていた。
マイキーと一虎の事もあるけど、参謀として一番に考えるべきは東卍と芭流覇羅の戦力差……
3倍にもなる戦力差とどうやって戦うべきか……
ブーブー
「!」
バイブ音が鳴り、アタシは鞄の中から携帯を取り出す。
いつも通り、マイキーから『遊び行こ』というお誘いメールだった。
「うーん……」
アタシは少し考えたけど……
『今日は気分じゃない』
やっぱり今は参謀の役割に集中してたくて、マイキーの誘いを断った。
ゴネるかな?と思ったけど、珍しくマイキーから文句のメールは返って来ない。
少しして窓の外に目を向けると、堂々と校門から外に出て行くマイキーとドラケンの姿が見えた。
アタシは溜息を吐いて、また芭流覇羅との抗争について、思考を戻した。
◇◆◇◆
───放課後
アイスでも買って帰ろと思って、コンビニを目指してた道中……
ザッ
「………」
後方に、人の気配を感じた……明らかに、何者かがアタシの跡を付けてる。
後ろのヤツを鬱陶しいと思うと同時に、わかりやすい尾行にアタシは笑いそうになった。
あの付け方からして、周囲に人が居なくなる時を……アタシが一人になる瞬間を狙ってる様子。
それならとアタシは、たどり着いたコンビニには入らず横道に入って裏に進んだ。
曲がり角を曲がって見せれば、後ろのヤツは歩調を早めて追ってくる。
バッ
「ねぇ!」
「⁉︎」
角の陰で息を潜めてたアタシは、追ってきた男の前に飛び出し、真正面から堂々と声をかけた。
「アタシに何か用?」
アタシが待ち構えていた事に、驚愕した男は若干身を引く。
「デカい図体引っさげて跡つけられたら、目障りなんだけど。尾行するならもっと上手くやってくれる?」
「ぐ…」
一丁前に悔しそうな顔をするソイツを、アタシはじっと観察した。
「……アンタ」
見覚えのあるその顔を、記憶の中から引っ張り出す。
「確か、愛美愛主にいた……」
「──幹部でもない一隊員の顔を、よく覚えてるもんだな」