第7章 総長と参謀
アタシは、マイキーとドラケンの目を見る。
「重要なのは、芭流覇羅の急激な勢力拡大は一虎によるものだったって事」
いくら一虎が東卍の仲間だったからって、それだけでチームのNo.3なんて位に立てるとは考えにくい。
芭流覇羅が急激に勢力を拡大した事と、一虎が出所した時期を考えると……恐らく、勢力拡大は一虎の力によるもの。
東卍を敵対視してるヤツらを纏め上げて、芭流覇羅に加えた……そのお陰で、芭流覇羅は300人という大規模なチームになって、一虎はNo.3という立場を得た。
アタシの説明に、マイキーとドラケンも同意見だと、それぞれ頷いた。
「半間に誘われたのか、一虎から言い寄ったのかは、この際どーでもいい。東卍が勝った後で吐かせればいい事だから」
「……そーだな」
ドラケンは、マイキーを一瞥した後、アタシの方に目を向けた。
「ユウ……三ツ谷達には、オレから伝える。オマエは、もう大人しくしてろ。芭流覇羅調べンのも終わりだ」
「!でもっ」
「ユウが芭流覇羅の奴に見つかった時点で、目ぇ付けられてる可能性が高え。……半間や一虎が、手ぇ出して来ねえとも限んねーだろ」
「う……」
ドラケンが言う事はもっともだった。
アタシがヘマして捕まったりなんかしたら、マイキーは絶対黙ってないし、ヤツらに良いように使われンのも御免だ……けど!
「一虎に会って説得出来れば、芭流覇羅の戦力を削げるかもしれないでしょ……だから──!」
「──和月」
「っ!」
マイキーの声がかかり、思わずアタシの肩が跳ねた……低い声から、マイキーが怒ってるのがわかったから。
アタシは、ゆっくりとマイキーを振り向く。
マイキーは、瞳孔鋭くした黒い瞳で、アタシを睨んでいた。
「オマエが一虎に会うの、オレが許すと思ってンの?」
「そりゃ、危ないのは承知の上だけど、300人をまともに相手するより、よっぽどマシな手だと思っ──」
「ダメに決まってンだろ」
「…………」
マイキーからハッキリと却下されて、アタシは口を噤む。
マイキーは、そんなアタシの正面に立つと、アタシの片腕を掴みグッと自身へ引き寄せた。
アタシは咄嗟に反対の手でマイキーの肩に手を置き、体が密着してしまうのを防ぐ。