第7章 総長と参謀
「行き先に困ったらここにたどり着くんだよねー」
思ったまま言ったアタシに、ドラケンは「今更だな」と言って軽く笑う。
「和月、話したい事って何?」
「まぁ、上登り切ってから──」
「和月」
まだ階段を登り切ってもいないのに、マイキーはアタシに本題を急かす。
仕方ないとアタシは、気を落ち着けるように、一つ息を吐いた。
前を向いたまま口を開いて、マイキーとドラケンに告げる。
「さっき、芭流覇羅のヤツらをノシた後……一虎に会った」
「‼︎」
「一虎…⁉︎」
「出所して、背も伸びて、髪型も変わってたけど」
話す間にアタシは階段を上り切って、後ろの二人を振り向いた。
明らかに動揺してるドラケンと、目を見開いて驚愕してるマイキーを見る。
アタシもさっきまで、一虎の前で同じような反応してたんだろうな……
「一虎は今、芭流覇羅に居て……東卍を潰そうとしてる」
「……あ?」
マイキーの後ろから、ドラケンがアタシを見る……怒りを含んだ、鋭い目つきだった。
「何で一虎が、東卍を狙う?……んなの、まるでアイツが……」
そこまで言ったところで、ドラケンは言葉を止める……マイキーに目を向けて、ぐっと喉を詰まらせた。
アタシは、その様子を見ながら、それでもやっぱり伝えるべきだと思って、ドラケンが止めた言葉を口にする。
「……一虎は、マイキーを恨んでる」
「!」
「本人の口から聞いた」
「……ふざけてんのか?」
ドラケンがマイキーを追い越して、アタシに迫る。
ガシッ
目の前まで来ると、強くアタシの肩を掴んだ。
「何で一虎が……!“あの時”、マイキーはアイツに有利になるよう証言したんだぞ⁉︎なのに──」
「アタシにもわかんないよ‼︎一虎がマイキーを恨む理由なんて、あるハズないのに!」
一虎のマイキーへの恨みは、完全な逆恨みで……とてもじゃないけど理解なんて出来ないし、したくもない。
グッ
「……ケンチン」
ずっと無言だったマイキーが、ドラケンを呼び、その腕を掴んだ。
マイキーはそこまで力入れてなかったと思うけど、ドラケンはアタシの肩から手を放す。
大きく一つ息を吐いて、「悪ぃ」とアタシに謝った。
「ううん、大丈夫」