第7章 総長と参謀
《ケンチンが!和月が芭流覇羅の奴に絡まれたっつーから飛ばして来たのに!オマエ今どこに居んの⁉︎》
「さっきケンに伝えたよ。どうする?アタシからマイキー達の方に行ってもいーけど」
《いーや、オレらが迎え行く!絶っ対ぇそこから動くなよ‼︎》
予想通りのマイキーの言葉に、アタシは「はいはい」と返事をした。
動くなとは言われたけど、ドラケンに伝えたのは隣の通りだから、アタシはそこに向かって歩いてく。
通話を切って携帯を再度ポッケに仕舞うと、アタシの口からはホッと安堵の息が漏れた。
声聴いただけで安心するなんて、参謀として情けなさはあるけど……
アタシは、自分の胸に手を当てる……まだ、触れられた感触が残っていた。
「……一虎……」
呟いて、アタシは一人で顔を顰める。
怒りと悲しみが綯い交ぜになった感情が、胸の中に蟠ってるようだった。
◇◆◇◆
数分もしたらマイキーとドラケンが、それぞれ愛機に乗ってアタシの元に到着した。
「和月!」
「飛ばし過ぎ……」
周囲の様子を見回して、アタシは思わず溜息を吐く。
猛スピードで現れた2台のバイクのけたたましい排気音に、通行人は驚いたてたり、怯えてたり、苛立ってたり
未成年がバイク運転してる事に変に絡まれる前に、この場から離れた方がいいな……
バブから降りようとするマイキーを手で制しながら、アタシはマイキーの後ろに跨った。
「目立っちゃってるから、移動しよ」
「おー」
「………」
移動しようと言うアタシに、ドラケンは返事してくれたけど、マイキーは何故か無言になる。
バブに乗ったまま後ろを振り向いて、アタシの顔をじっと見つめた。
「和月……」
「マイキー、早く出発しよ。通報されたら面倒だし」
「どこも怪我してねぇ?」
「してないよ」
実際怪我は負ってないから、アタシはマイキーに即答して、もう一度「早く移動しよ」と伝えた。
「………」
マイキーはまだ何か考えてるような顔してるけど、この場ではそれ以上何も言わず、バブを発進させた。
◇◆◇◆
マイキーとドラケンに、話したい事があると伝えて、アタシ達は武蔵神社に向かった。