第7章 総長と参謀
アタシは、頷くマイキーの目を見つめる。
「芭流覇羅の事は、引き続き調べてみるよ。何か分かったら報告するから」
「一人で危ねえマネすんなよ」
心配してくれるマイキーに、アタシはニッと笑って答える。
「大丈夫!無茶はしない。ヤバい時は逃げるし」
怪我したらマイキーにブチ切れられるし。
「………」
アタシが芭流覇羅を調べる事を、マイキーは心配はしても反対はしない……総長として、参謀のアタシを信頼してくれてる証だった。
信頼に応える為にも、気を引き締めて芭流覇羅を調べなきゃ……
今この時も、東卍をよく思ってないヤツらはこぞって芭流覇羅に加わってる……東卍に潰されたチームの残党も、少なくないんだから。
「芭流覇羅は、今オレらが相手にしてる雑魚共とは違う、でけぇチームだ。新興だろーがなんだろーが、規模は既に長内が率いてた頃の愛美愛主に匹敵する。……けどな」
マイキーはこの場のみんなに向けて話してるけど、その目は真っ直ぐにアタシを見ていた。
「無い影に怯えてやる必要はねえよ」
「!」
「芭流覇羅が何を企んでよーが……喧嘩売られりゃ買うし、仲間に手ぇ出したらブッ潰す」
「だろ?」と問いかけるように、マイキーはアタシ達へニッと笑う。
「ハッ、違いねぇ」
「ああ」
「……うん」
マイキーと同じく不敵に笑うドラケンや隊長達を見て、アタシも頷いた。
別に、怯えてるつもりはなかったけど……確かに、気が急いでたトコはあったかも?
あんま心配かけんの、参謀としてはダメだよね……と、アタシは心の中で反省する。
けどどうしても、半間と芭流覇羅の事考えたら胸騒ぎがして……それを抑える事が出来なくて……
「………」
自覚して反省したって、アタシの気は急いたままだった。
◇◆◇◆
数日後───
「もしもし、ケン?」
《ユウ……そっちはどうだ?》
「思ったよりマズい事になってる」
芭流覇羅の拠点の一つを調べてたアタシは、一旦裏路地に引っ込んでドラケンに連絡をとった。
「芭流覇羅の勢力が、ここ数日で急激に伸びてる……頭数だけで三百近い」
《東卍の三倍か……》
さすがのドラケンも、3倍の戦力差という状況に「確かに厄介だな」と呟く。