第7章 総長と参謀
顔を離したマイキーが、それでも近い距離からジッとアタシを見つめる。
「和月…」
顰められた眉、少しだけ潤んだ瞳、熱い吐息……マイキーの今の表情は、何かを堪えてるようにも、泣き出してしまいそうにも見えた。
「オレ、和月が好きだよ」
「!き、急にどうしたの?」
アタシの頬に手を添えて、マイキーはまたアタシにキスをする。
「和月は?」
そう聞きながら、マイキーはアタシの唇を食んだ。
ホントにどうしちゃったんだろ……と困惑しながらも、アタシはマイキーに答えようと口を開く。
「ん…アタシも、好きだよ」
チュ
「万次郎のことが好き」
答えてすぐ、唇はまた深く重ねられた。
「んん…」
「和月──」
マイキーが、息を切らしたアタシの目を見つめる。
「ずっとオレの傍にいて」
キツくアタシを抱き締めて、
「オレから離れないで」
震えた声で縋り付いた。
「………」
今の言葉は確か、前にも言われた事があった……アタシはぼんやりと思い出す。
“あの夜”のアタシは、マイキーに対して過去一怒ってたから、寝たフリして答えなかったけど……
「──いいよ」
今は、迷わず答えられる。
弾かれたように、マイキーが顔を上げた。
心底驚いたようなその表情を見て、アタシは「物理的にずっとは無理だけど」なんて野暮な言葉は飲み込む。
多分今はマイキーも、そういう意味で言ってンじゃないと思うから。
「ずっと?」
「ずっと」
「ホントに?」
「嫌いになっても離れない」
アタシはマイキーの手を取って、アタシの上胸にピタッと触れさせる……嫌らしい目的じゃなく、アタシの覚悟を伝える為。
「嫌いになったぐらいじゃ、離れ難い。それぐらい、万次郎のことが好きだから」
「!……はは」
アタシの言葉に、黒い瞳はまた潤み、マイキーは嬉しそうに笑った。
アタシは、やれやれと肩を落とす。
「いやぁ〜、今年はおっもいプレゼントになったなぁ」
「今更ナシとかナシだかんな!」
「ハイハイわかってるよ。……ほら、そろそろ時間だから一旦家帰って」
「ん、わかった」
アタシが帰れと言うのに、ご機嫌なマイキーは大人しく頷く。