第7章 総長と参謀
「うん。もっと、エロいシーンあると思ったのに、つまんねーの」
「あー、なるほど?そういうアレで選んだのね」
何となく予想はしてたけどね、出来れば聞きたくなかったワ。
「和月ー、ちゅーしよ?」
「今の流れでは絶対に嫌」
キスの要求は笑顔で拒否って、映画館を出た後はモールで買い物した。
マイキーは新しい服を、アタシはピアスを、二人ではエマにお土産を買って、昼食はフードコートで済ませた。
モールを出た後は、二人で帰路に着いて、アタシの家にマイキーを招いた……バースデーケーキをプレゼントする為に。
「ほい、ハッピーバースデー」
「おーー‼︎うまそー!」
頑張って手作りしたチョコケーキ、マイキーは目ぇ輝かせた笑顔で「さすが和月!」と喜んでくれた。
「あーでも、今日はもう食べちゃダメだからね」
アタシはマイキーからケーキを取り上げて、サッと冷蔵庫に仕舞う。
「は⁉︎何で何で⁉︎」
ケーキ取り返そうとしてくるマイキーを阻止しながら、アタシは本日何度目かのジト目を向けた。
「カフェでパンケーキ食べて、映画館でチュロス食べて、フードコートでクレープ食べたでしょ」
「和月のケーキは別腹だし」
「腹の空き具合の話じゃないの。カロリー糖質過多だっつってんの」
お預けくらったマイキーは、不服そうにぷくっと頬を膨らませる。
アタシはそれをプスッと指で押し潰して、「拗ねてもダメ」と返した。
「ケーキは持って帰っていいから、エマと先生と“明日”食べなさいね」
「むぅぅ、オレは今食いてーのに!」
「ダーメ」
「ケチ!」
こっちは体気ィ遣ってやってンのにコノヤロウ。
「!ぐえっ」
ギューッ
不満をぶつけるように、マイキーが強めに抱きついてきた。
こっちにめっちゃ体重かけてくるもんだから、アタシは抜け出そうと踠いたけど、正面抱きから背面抱きに変わっただけ。
「あー、もう!重い!」
アタシはマイキーを引きずるようにしながら、キッチンから出てリビングのソファに向かう。
グッ
「う、わっ⁉︎」
マイキー下敷きにして座ってやろうとか考えてたら、アタシが先に引っ張られてマイキーの上に座らされた。