第7章 総長と参謀
そして一週間後───8月20日
マイキーの誕生日にアタシは、マイキーの希望でデートに行くことになった。
海みたいな遠出じゃなくて、学生らしい街デートに。
この日のデートの最初は、エマから教えてもらったオシャレなカフェで朝食を摂る。
マイキーは、ホイップクリーム特盛のパンケーキを注文した。
アタシは、普通にお腹空いてたからカツサンド……運んで来た店員は間違えてアタシの前にパンケーキ置いてたけど、まぁ気持ちはわかる。
「ん〜〜!うんまぁい♡」
よっぽど美味しかったのか、マイキーは頬っぺた落ちそうにしながらキラキラと目ぇ輝かせてた。
「和月はパンケーキ食わねーの?コレすっげえ美味えよ?」
「アンタと違って、アタシの喉に朝から甘いモンは通んないの」
パカッと口を開けてカツサンドにかぶりつくアタシを見て、マイキーはブッと吹き出す。
「ハハハハ!でっけえ口!女子の顔じゃねえ」
「うるさいな。チマチマ食べてたらカツが冷めるでしょーが!」
女子の顔じゃねえって言われた事に地味に傷つきながら、アタシはジト目でマイキーを見る。
「マイキーだって、顔にクリーム付いてるよ」
「どこ?」
「鼻と右の頬っぺ」
マイキーは迷わずに「ん!」とテーブル挟んだアタシの方に顔を近づけてきた。
「和月取って」
「ちょっ、ストップ!前のめったら服にクリーム付くから!」
終始騒いでて、後で思えば店員や他の客にうるさがられてたかも。
カフェを出た後は、モールに行って中にある映画館に入った。
マイキーにしては珍しく、チョイスした映画は恋愛もの……そういやうちの学校の女子の間で話題になってたなぁ、と思い出す。
一人の女性を二人の男が奪い合う三角関係もので、若手の俳優女優が起用されてる割に内容はかなりドロドロしてた。
でも何というか、男の片方がもう一人の男に最後まで遠慮してる感が拭えなくて、アタシは正直イマイチだなと思った。
欲しいなら本気で奪りに行けばいいのに、と。
「で、マイキーの感想は?」
映画を観終わった後、アタシはマイキーに感想を聞いてみる。
「イマイチだった」
「やっぱり?」