第6章 決戦を越えて
「アタシとマイキーの“お付き合い”は、まだ2年経たないくらいのモン……さっきも言ったけど、男とか女とか意識するより前に、アタシ達は一緒に居たから」
「へ、へぇー…そうだったんスね」
タケミっちは、心底驚いた様子で、なんとか相槌を打ってる。
(意外……だけど、考えたら当然っちゃ当然か。いくら強いマイキー君やしっかり者のユウさんでも、まだ15歳の中学生なんだもんな)
病院の外に出たけど、アタシはまだ戻らずに、考え込んでるタケミっちの顔を覗き込んだ。
「……タケミっちとヒナちゃんの馴れ初めは?」
「へっ⁉︎」
「アタシばっか話しててズルいじゃん。タケミっちのも教えて」
アタシが聞くと、タケミっちは顔を赤くしながら目を泳がせる。
「お、オレの話なんかしても何も面白くないっスよ!」
「告白は?タケミっちからしたの?」
「いやっ……それは、ヒナ、から……」
「へぇー!ヒナちゃんのが先にタケミっちを好きになったんだ?」
それは意外……真面目なヒナちゃんが、どうして不良のタケミっちを好きになったのか気になるところ。
「いつから付き合ってんの?」
「(えっと確か……)6月、ぐらいから……」
付き合い出してまだ2ヶ月ぐらいか、へぇー。
「初デートは?」「ファーストキスは?」と質問を重ねるアタシに、タケミっちは茹でダコのように真っ赤になりながら「もう勘弁してください!」って叫んだ。
不良なのに初心で可愛いね。
「じゃ、アタシはそろそろ戻るワ。まったねー、タケミっち」
「は、はい…」
まだ赤いタケミっちから踵を返して、アタシは病院の方に戻ってく。
「……ユウさん!」
「?」
呼ばれて振り向くと、タケミっちは真剣な目をしてアタシを見てた。
(現代(みらい)のユウさんは、“極悪”東卍のNo.3……でも、ドラケン君が助かった今なら、きっとそれも変わってるはず!)
「タケミっち?」
呼び止めたクセに何も言わないタケミっちに、アタシは首を傾げる。
タケミっちは、アタシに向かってニッと笑った。
「どうか、マイキー君と……お幸せに」
「は?……いきなり何?」
「何でもないっス!失礼しました!」