第6章 決戦を越えて
タケミっちはアタシに頭を下げると、さっさと帰って行ってしまった。
ワケわかんなくて、アタシはまた首を傾げる。
「お幸せにって、今言う事?……ホントに変なヤツだな、タケミっちは」
タケミっちに「一体何者だ?」って聞いた、マイキーの気持ちがわかった気がした。
◇◆◇◆
屋上に戻ると、アタシはバン!と勢いよくドアを開けた。
「マイキー!」
「ん⁉︎」
大きい音に驚いて、マイキーが体を起こした。
「半間の目的は、東卍を潰す事。だけど内部抗争で済ます気はなかったと思う」
アタシはさっきのマイキーの疑問に答えながら、塔屋によじ登り、マイキーの前に立つ。
「決戦の不意をついてドラケンを刺せたなら、マイキーを狙う事だって出来た。なのに、そうしなかった」
「………」
それは単に、ドラケンを恨むキヨマサが都合良かったからってだけの理由かもしれないけど……
「ドラケンっていう東卍の戦力を削いで、半間は東卍を潰しやすくしたかったんだと思う」
ただ潰せれば良いって話なら、マイキーから狙うのが一番手っ取り早いハズだから……つまり、
「半間の目的は、〝芭流覇羅〟っていう自分が作ったチームの手で、“満を辞して”東卍を潰す事」
敵はどうやら、過程に拘るタイプらしい。
その嫌らしさにアタシは顔を顰めつつ、正面を見据える気持ちでマイキーを見た。
「半間は、東卍を潰す為に、必ず仕掛けてくる。それもきっと“盛大に”」
マイキーが立ち上がり、アタシとマイキーの目線が合う。
「アタシは、それを止める。絶対に、半間の思い通りにはさせないし、芭流覇羅はぶっ潰す」
「……そこは、“アタシ”じゃねえだろ」
マイキーはアタシの目を見つめて、ニッと笑う。
「半間も芭流覇羅も関係ねえ。東卍の敵は全部、“オレら”で潰すぞ」
「!」
マイキーの答えに、アタシも口角を上げて笑う。
不敵に笑い合うアタシ達に、怖いものなんてなかった。
どんなに半間が薄気味悪くても、芭流覇羅が未知のチームでも、関係ない。
マイキーが居れば、絶対に勝てる。
アタシが居れば、絶対に守れる。
「頼りにしてっからな、参謀」
「任せてよ、総長」
アタシ達は、そう確信していた。