第6章 決戦を越えて
「んー」
女のアタシが参謀やってる理由……
「仲間内で一番頭が良かったから」
アタシが答えると、タケミっちは一瞬止まって、「えっと、そうじゃなくてっ」と焦る。
「わかってるよ」
「え?」
タケミっちの言いたい事はわかる……この場合重要なのは“参謀”じゃなくて“女の子”ってトコだから。
ホントはこういう話すんの嫌なんだけど、他でもない恩人のタケミっちから聞かれてんだから答えないワケにもいかないか。
「なんて言うか……不良なアタシ達は、ずっとバカなまんまでさ……男とか女とか意識するより先に、友達になって、仲間になって、チームを作った」
アタシが女だからと気遣われるようになったのは、ホントに最近の事。
「だからホントに、アタシが参謀になった理由は『仲間内で一番頭が良かったから』なんだよ」
タケミっちは、まだ少し納得がいかない様子で「でも…」と続ける。
「オレから見ても、マイキー君はユウさんの事が大好きで……なのに、参謀なんて危ない事……」
「うーん、まぁ……一時期は『もう参謀やめろ』って反対されて、めっちゃ喧嘩した事もあったけど」
「!喧嘩って、マイキー君とユウさんがスか?」
「うん」
意外かな?アタシとマイキーって、結構喧嘩してる方だと思うけど……
アタシはぼんやりと、その時の事を思い出した。
「抗争の前にアタシを置いてこうとするから、『敵チームの女になってでもついてってやる!』って怒鳴って出奔した。そしたらみんな大騒ぎで、今思い出すと笑えるんだけど」
(全然笑えない‼︎)
アタシの話から想像したのか、タケミっちは冷や汗かいてる。
「で、でも、やっぱり、マイキー君はユウさんの事大切にしてるんスね」
「だとしても、アタシから〝参謀〟って役目奪うのは違くない?アタシは、マイキーの女の前に、東卍の参謀なんだから」
アタシの話に、タケミっちは「え⁉︎」と驚愕した。
「ユウさんは、マイキー君の恋人になる前から参謀だったって事スか⁉︎」
「そーだよ」
これは、よく隊員にも勘違いされてる話。