第6章 決戦を越えて
アタシの膝に、腹と胸を圧迫されて苦しそうな息吐いてるクセに、マイキーが退く気配は微塵もない。
「あーもう!ホント勝手なんだから!」
結局いつもの如く、アタシが折れるハメになって、アタシは故坐かいてた足を崩して真っ直ぐ伸ばした。
すかさずマイキーは体を反転させ仰向けになって、アタシの太ももの上に頭を乗せる。
ニマニマ満足そうに笑う顔に腹が立って、アタシはマイキーの頬をギュッとつねった。
「…いへえ」
「反省しろバカ」
アタシが手を離すと、マイキーは頬をさすりながらジッとアタシを見上げた。
「寝ないの?」
「寝る」
「10分経ったら叩き起こすからね」
マイキーは「ん。」と返事をしながら目を閉じる……すぐに穏やかな寝息を立て始めた。
アタシは溜息を吐いて、腕をぐーっと伸ばしながら、空を見上げる。
「……ヒマだなぁ」
◇◆◇◆
ぼーっとしたまま10分が経ち、そろそろ起こすかとアタシはマイキーに目を落とす。
「……?」
目を閉じてるマイキーは、その顔の眉間に皺を寄せてた。
アタシはマイキーの眉間に指先を置いて、ぐりぐりと押す。
すると、パチとマイキーの目が開いた。
「……寝てなかったの?」
「ちょっと寝た」
「起きたんならさっさと退けてよね」
「やだ。まだ退かねー」
アタシの腿を枕にしたまま、マイキーが手を伸ばしてアタシの手を掴む。
「…………」
無言でアタシの手をニギニギしながら、マイキーは何かを考えるような顔をしてた。
アタシが反対の手でマイキーの頬に触れると、マイキーは「ん?」とアタシを見上げる。
「アンタにしては珍しく、難しい顔してるから」
「……オレだって考える事ぐらいあるし」
「半間の事?」
アタシが聞くと、マイキーの眉間にまた皺が寄った。
勘だったけど、どうやら当たりだったみたい。
「面倒事は参謀に任せてりゃ良いのに」
「オマエにばっか負担かけらんねーだろ」
ムスッとするマイキーに、アタシは「総長だもんね」と言って笑う。
「でも、ちゃんと相談してね」
「……ん。」
アタシも昨日「一人で抱え込むな」って言われたばっかだし、ひとの事言えないけど……いつもワガママなマイキーも、その実一人で抱え込むヤツだから。