第6章 決戦を越えて
8月10日───
8・3抗争から一週間経った今日、やっとドラケンとの面会が出来るようになった。
総合病院の入院病棟、アタシはマイキーと一緒にドラケンが居る病室に向かう。
着くや否や、マイキーはノックも無しにいきなりドア開けて中に入って行った。
「あ、いた。ケンチン」
「ケン、久しぶり!」
ベッドに横になってたドラケンが、アタシ達に「おー」と返しながらゆっくりと体を起こす。
病室の中でもしっかり辮髪に結われた髪と、イカつい龍の刺青、アタシ達を見てニッと笑う顔に、アタシは酷く安心した。
起きてて大丈夫かな?ってちょっと心配したけど、本人の顔色を見るに問題なさそう。
「元気そうで良かった…」
「そう簡単にくたばるかよ」
「ハハッ、そーだね」
なんて事ないように言って強気に笑って見せるドラケンに、アタシもつられて笑った。
心配したんだよって、文句の一つでも言ってやるつもりだったんだけどな。
ベッドの横に椅子を置いて、マイキーとアタシは腰を下ろす。
「これ、お見舞いね」
ガサッとビニール袋から取り出して、アタシはお見舞いの品をドラケンに手渡した。
「マイキーたっての希望により、たい焼き詰め合わせになりました」
「あ?」
「ケンチン早く開けて」
「……オマエなぁ」
催促するマイキーに呆れた顔しながらも、ドラケンは包装紙を取って箱を開けると、中身のたい焼きをポイとマイキーに放ってあげてた。
「このたい焼き、小袋開けなかったら日持ちするやつだから、ケンも食べれるようになったら食べてね」
「おー、ありがとな」
腹刺されて入院してるドラケンは、多分まだ自由にモノ食べちゃダメだから……
日持ちするものって考えてホントはお煎餅とかにするつもりだったのに、マイキーがたい焼きと言って譲らなかった。
「あぁそれと、入院中はケンが死ぬほど暇してると思ったから──」
アタシはビニール袋から別のお見舞い品を取り出し、ドラケンに手渡した。
「じゃん!バイク雑誌〜」
「!」
カッと、ドラケンの目が見開かれたのを、アタシもマイキーも見逃さなかった。
アタシはマイキーと顔を見合わせニー!と笑い合う。