第6章 決戦を越えて
……場地と抱き合ってるとこ見られてしまった‼︎
「は?何で和月が場地と一緒にいんの?」
「マイ──むぐっ」
アタシの頭をまた引き寄せて、場地は自分の胸に強く押し付けた。
「よォ、マイキー」
「場地‼︎」
アタシを抱き締める場地を、マイキーが鋭く睨みつける。
コワい顔してアタシ達の方に向かってくるマイキーを、場地はアタシを押さえたまま見てるだけ。
「んー!」
アタシはドンッと場地の胸を叩くけど、場地は離してくれない。
逃げもしない、言い訳もしない、なのに離してもくれない場地に対して、アタシは内心焦りまくってた。
正面に立ったマイキーが、場地へ拳を振り上げる。
「マイキー」
場地は落ち着いた声で、ただマイキーを見つめてた。
「〝お疲れの日〟だ」
「──!」
場地に向けられた拳が、すんでのところでピタッと止まる。
「……和月お疲れの日?」
「おう」
「ん、わかった」
「へ?」
二人の会話の意味がわかんなくて、アタシは間抜けな声を漏らした。
さっきまでマイキー場地にブチ切れ寸前だったのに、何で今は通じ合ってンの?
場地の手から解放されても、アタシは混乱で動く事が出来なかった。
「和月ー」
マイキーに手を引っ張っられ、アタシの体はマイキーに向く。
アタシが顔を見ると、マイキーの表情はニコニコ笑ってて、さっきまで低かった声はご機嫌に弾んでた。
いや、逆にコワいワ。
「マイキー怒ってる…?」
「ん?今は怒ってねーよ」
そう言いながらマイキーは、両手でアタシの頬を包む。
ムニー!
「んえっ⁉︎」
そのままアタシの頬を左右に引っ張った。
「ハハッ、変な顔!」
「やえへよ!」(やめてよ!)
ムニムニ摘んで引っ張って、マイキーはアタシの顔を弄くる。
それを見てた場地が、「オレも」と後ろからアタシの頭に手を置いた。
ワシャワシャワシャ
「!ちょっ」
場地の手がアタシの頭を乱暴に撫で回す。
目を上に向ければ、笑う場地と目が合った。
ひとの髪ボサボサにしといて何笑ってンの。
ムニムニ ワシャワシャ
「…………」
え、何でアタシこんな弄ばれてんの?