第6章 決戦を越えて
マイキーみたいにギューギュー締められてるワケじゃないけど、多少力入れた程度じゃ振り解けないぐらいには力強い。
「今疲れてンだろ?」
「……だったら何」
「一人で抱え込もうとすんな」
ポンポンと、場地の手がアタシの背中を叩いた。
いつも粗暴な場地にしては珍しい、酷く優しい手つきと……
「……ちったぁオレを頼れよ」
小さく呟く声。
「……あーもう」
場地から離れようと突いてた手で、場地の服をギュッと掴む。
アタシが顔を上げて見れば、場地はニッと笑ってた。
「圭介……」
「おう、どうした?」
「……放せバカッ!!!」
バシッ
「うおっ⁉︎」
アタシは両手をバタバタと暴れさせて、場地を叩きまくる。
いきなりの事に場地は驚いて固まってたけど、すぐにムキになって、さっきより強くアタシを抱き込んだ。
「あーあーやめてやめて!」
「オイ落ち着け!暴れんな」
「圭介はズルい‼︎昔っからいっつもいっつも!こんな時ばっか優しくして!」
「あ゙?オレはいつでも優しいだろが!」
どこが⁉︎と心の中でツッコみながら、アタシはまた場地を叩く。
バシッ
「テメッ…いい加減にしろ‼︎」
場地がアタシの体から手を離し、それぞれの手でアタシの両腕を掴んだ。
そのまま両腕を開くもんだから、またアタシと場地の距離がぐっと近づく。
「……何で、そんな構うの」
「テメーがほっとけっつーからだ」
アタシが顔顰めて「イジワル」と文句を言うのに、場地は「そーだな」と何でもないように返した。
「……落ち着いたか?」
「……ん。」
コクとアタシが頷くのを見て、場地は掴んでた手を放す。
自由になった腕で、今度はアタシから、場地にギュッと抱きついた。
「!」
場地の動きがピタッと止まる……この、アタシから行くと固まるクセは、相変わらず健在みたい。
変わってないなぁとアタシは笑って、少し早まってる場地の鼓動を感じた。
「……圭介のことは、いつも頼りにしてるよ」
「!……そうは見えねーが?」
「見せないようにしてンの。……参謀が隊長に甘えるなんて、カッコ悪いでしょ」