第6章 決戦を越えて
ビシッ
「いっった‼︎」
おでこに思いっきりデコピンをくらい、アタシは思わず起き上がる。
「圭介‼︎いきなり何すんの⁉︎」
「起きねーテメーが悪い」
気配の主・場地は、額押さえて飛び起きたアタシを見て、したり顔で笑ってた。
「アタシがどこで寝てよーがアタシの勝手でしょ」
「んだよ、機嫌悪ぃな」
「…………」
「…眠ぃなら家に帰れ。こんなトコで無防備に寝てたら、襲われても文句言えねーぞ」
場地の言葉にアタシは一瞬止まって、その後「ハァァ」と溜息を吐いた。
「東卍の縄張りでマイキーの女襲うバカがどこにいんのよ」
「………」
肩を落とすアタシに対して、場地は無言で眉根を寄せながら、アタシの隣に腰を下ろす。
「……もう、いーからほっといて。一人になりたいの」
「一人になりてえ奴の来る場所か、ここは?」
珍しく的を射る場地に、アタシは「……だって」と話しながら視線を逸らした。
「家に居たら、マイキーが来る気がしたから」
「それが?」
「……言ったでしょ。今は一人になりたいの」
携帯もマナーのまま放置してるし。
「……何かあったのか?」
スッ
「!」
場地が、おもむろに手を上げアタシの頬に触れた。
ちょうど昨日、三途に触られたのと同じ位置。
場地は顔を近づけては来ないけど、アタシより高い目線から真剣な顔して見つめてきた。
「そういや変な顔してンな」
「女に対して変な顔とか平気で言うなバカ」
バシッと場地の手を叩いて、アタシはまた顔を逸らす。
「何があった?」
「何もない」
「じゃあ何でそんな顔してンだ」
「圭介には関係な──」
ガシッ
スッと伸ばされた場地の手が、今度はアタシの後頭部を掴んだ。
場地は強い力で、グッとアタシを引き寄せる。
「⁉︎」
いきなりの事に抵抗出来なかったアタシは、後頭部押されるまま場地に突っ込んで……
ボフッ
彼の胸に頬を付ける形で、場地の腕に抱き締められた。
「……は?いきなり何」
アタシは、場地の胸に手を突いて離れようとする。
けど何故か、場地はアタシを抱き締めたまま放さなかった。