第6章 決戦を越えて
「ペーやんの心にあったのは、パーちんへの想いと、東卍への怒り。アンタらのは、ドラケンへの逆恨み、邪魔者を排除したいって欲望」
キヨマサは大勢の前で恥をかかされた恨み、コイツらは喧嘩賭博という稼ぎ場を潰された恨み……日頃の恨みを晴らしたかっただけで、そこにはパーちんもペーやんも関係ない。
「違う……違う!」
アタシに向かって、男の一人が声を荒げた。
「東卍が隊長見捨てたのが悪ぃんだろが‼︎」
「!」
「そ、そうだ‼︎オレらはパーちん君の為にっ」
「──うるさいッ!!!」
これ以上ヤツらの言葉を聞きたくなくて、アタシは強く叫ぶように怒鳴った。
「アンタらは、ペーとは違う!……パーの事なんて微塵も考えてなかった。ただ邪魔なドラケンを排除したかっただけでしょ⁉︎」
「ち、違う!」
「オレらはホントに…」
「だったら何で、刃物なんか持ち出せんの?パーは、長内を刺して捕まったのに」
ドクドクと鼓動が速まって、アタシの体に熱が籠る。
「アンタ達がホントにパーの事を想ってたなら、喧嘩に刃物なんて使えるワケないんだよ‼︎」
アタシはナイフを握り締め、男達を睨んだ。
「東卍で内輪揉めはご法度……副総長を刺すなんて、もってのほか」
自分達の私欲の為に、ペーやんの想いを利用し、半間の口車に乗って、ドラケンを刺した……そのツケはキッチリ払わせる。
「ドラケンの腹を刺した分と、タケミっちの手を刺した分……アタシが、アンタらを2回ずつブッ刺す」
宣言したアタシの隣に、ムーチョが立った。
手の関節をポキポキと鳴らしながら、アタシと同じように宣言する。
「東卍を裏切った分……伍番隊が、テメェらを罰する」
「……裏切り者に、東卍の鉄槌を」
逃げようと踠く男達を、三途が合図し隊員達が取り囲んだ。
「た、助け…」
「殺しはしないから、安心していーよ」
恐怖に震え絶望に顔を歪めるヤツらに、アタシはもう一度ニッコリと笑いかける。
「アタシは、キヨマサより優しいからね」
手に握ったナイフを、ヤツらに向けて振り上げた。
◇◆◇◆
ブッ ズ
「ぎゃああああ!!!」
5人目の手にナイフを突き刺して、アタシは暴れる背中を膝で押さえながら、ナイフを引き抜く。