第6章 決戦を越えて
憎い顔を見回しながら、アタシはヤツらの前に蹲み込んだ。
伍番隊に怯えてた男達は、アタシを見て顔色を変える。
「な、何でユウがここにっ」
グチャッ
「オイ」
ヤツらの後ろに立ってた三途が、最初に声を上げた男の顔を踏み潰した。
「カスが呼び捨てにしてンじゃねえよ…」
「ぶ、ぐっ!」
「“ユウさん”だろが」
グリグリと容赦なく踏み付ける三途に、男は潰れた声を出し、他のヤツらは益々怯える。
「ユウさん…が、な……何でここに…」
「アタシ?アタシは……」
アタシは、パッパッと三途に手を振って、男の上から足を退かせる。
男達に向かってニッコリと微笑みながら、アタシがここに来た目的を教えてあげた。
「東卍の参謀として、裏切り者に鉄槌下しに来たんだよ」
コイツらは、いずれも東卍の参番隊で特攻を勤めてた隊員達……キヨマサの取り巻きだったヤツらだ。
「東卍裏切って、ドラケン刺しといてさ、何もナシで済むとでも思った?」
8・3抗争でペーやんと愛美愛主の側に付き、キヨマサと共謀してドラケンを刺し、ドラケンを運んだタケミっち達を襲い、最後にはキヨマサを見捨てて逃げ出したクズ野郎共。
「ホントならキヨマサもぶっ殺してやりたかったけど、アイツは警察に捕まったから、手出し出来ないんだよね」
だからアタシはムーチョと伍番隊に命令して、コイツらを拉致してもらった……無事に捕えたと連絡を貰って、今日ここに足を運んだ。
「ごっ、誤解だ!」
「お、オレらはキヨマサに従っただけで……」
「全部ペーやんとキヨマサのヤローがやった事で、オレらは関係な──」
ドスッ
「ぎッ──あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!!」
言い訳を並べ立てる裏切り者の肩に、アタシはナイフを突き刺した。
刺された男は、手足縛られたまま床にのた打ち回り、ナイフが抜けた拍子に飛び散った鮮血がアタシの頬にかかる。
男の汚い悲鳴に顔を顰めながら、アタシはヤツらを冷たく睨んだ。
「……ペーやんの事は許した。アイツはマイキーを裏切ってないから」
「な、何で…何でアイツだけ⁉︎」