第6章 決戦を越えて
「アタシもマイキーもさ、ペーが謝ってくれたら許すって決めてたよ。きっと、ケンも許してくれる」
話しながら、アタシは視線を下げる。
言うかどうか迷っていた事を、伝えようと意を決した。
「けど……ペーは、これから辛いと思う」
「?」
「ペーの事……東卍の全員が許せてるワケじゃないから……中には、今でもペーを裏切り者って思ってるヤツも居る」
「!」
ペーやんは、愛美愛主と手を組んで、ドラケンを襲い、決戦の時も愛美愛主の側に立った。
この事実がある以上、ペーやんを裏切り者と思うヤツが居てもおかしくないし、それは仕方ない事だと思う。
本人がどんなに後悔して、反省してても……きっとすぐには理解して貰えない。
「マイキーもアタシも、ペーを責めないし、罰さない。明日の集会でも、みんなには伝えるけど……それに納得出来ないヤツは、きっとペーを責める」
マイキーやアタシには止められない……下手に庇えば余計拗れるだけだから。
「……覚悟の上だ」
ペーやんは顔を上げて、真っ直ぐアタシを見る。
「誰が何と言おうが関係ねえ。オレは、東卍に残って、パーちんを待つって決めてンだ」
ペーやんはハッキリと答えてくれたけど、アタシはまだ笑うことが出来なかった。
「その覚悟があるなら、約束して」
アタシはまた、ペーやんの右手を取り両手で握り締める。
「東卍で内輪揉めはご法度……」
ペーやんの目を、強く見つめる。
「隊員(なかま)から喧嘩売られても、絶対に買わないで」
「!」
「例えどんなイチャモン付けられても、殴られても、“パーを貶されても”、絶ッ対に手ぇ出さないって約束して!」
「…………」
ペーやんは一度目を閉じて、「ハァァァ」と深く息を吐いた。
ギュッ
彼の右手が、アタシの手を握り返す。
「──約束する。絶対ぇ、内輪揉めはしねえ……もう二度と、オレは仲間を傷付けねえ」
覚悟の決まった、ペーやんの強い眼差しと、アタシの視線が交わった。
「……うん」
アタシは頷いて、ペーやんの手を離す。
ようやく一つ安心出来た……
「ペーは、この後も謝りに行くの?」
「おう。次はマイキーんトコに行って、エマにも謝って、パーちんに手紙出して……花垣のやつにも」