第6章 決戦を越えて
「違ぇんだよ、オレは‼︎さっきみたいんじゃなく、ちゃんと謝ろうと思ってここに来てンだ‼︎」
ペーやんは三白眼をギンと開いて、アタシに「だから黙って聞けやコラ」と、およそ謝罪する人とは思えない脅しをかけてきた。
アタシが呆気に取られてる間に、ペーやんは数歩離れる。
そして
「──ごめん!」
アタシに向かって、深く頭を下げた。
「ごめん、ユウ」
「ペー……」
「ドラケン襲う為に……ウソついて呼び出して、危ねぇ目に遭わして……怪我まで、させちまって」
ペーやんは、自分が謝りたかった事を言葉にしながら、アタシに頭を下げ続ける。
「本当に、ごめん!」
「……うん」
さっきアタシが謝ったのに倣ったのかな……ペーやんのこういう素直なトコ、可愛いと思う。
「頭上げてよ、ペー。もういいから」
「………」
アタシがポンと肩を叩くと、ペーやんはゆっくり上体を起こした。
(……よし)
その表情が少し晴れてる事に、アタシはホッと息を吐く。
「もう、これ言うのいい加減嫌なんだけどさ、この怪我は愛美愛主にヤられたんじゃなくて、自分でコケちゃったってだけだから……」
アタシに嫌いな運転をやらせた罪はデカいけどね、という冗談が喉まで出かかったけど、アタシは言わずに飲み込んだ。
「それに、ペーがアタシんトコに愛美愛主当てがったってワケじゃないでしょ?」
「……オレが、アイツらの目の前で呼び出したりしたから、利用されちまって」
「……アタシんトコに来たヤツらね、パーの親友を襲った実行犯共だったよ」
「⁉︎」
「全員ぶっ飛ばして、通報したからね。もう心配ないよ」
そう言って笑うアタシを見て、ペーやんはギリと歯軋りをする。
「クソッ…アイツら…‼︎オレは、なんつー事を……」
「もういいってば!アタシが報告したかっただけで、ペーを責める為に言ったんじゃないから」
ペーやんは、悔しげに顔歪めてる。
アタシは、またその肩をポンポンと叩いて、ペーやんに肩の力を抜かせた。
「……ケンにも、謝ってね。面会出来るようになったら、連絡するから」
「…おう」