第6章 決戦を越えて
喉を詰まらせたようなペーやんの様子に、アタシにはなんとなく察しがついた。
アタシは門扉の外に出て、ペーやんの正面に立つ。
「…………」
俯くペーやんの右手を取り、両手で握り込んだ。
ペーやんの手は、アタシのよりずっと大きいのに、指先は冷たくて……手汗をかいてる。
珍しく緊張してンのかな……病院で「大丈夫」って伝えたばっかなのに。
「……ペー」
いや……自分がした事を後悔してるからこそ、か。
「パーが捕まって……ペーが一番辛い時に、アタシは他の事考えてばっかで、アンタの事ちゃんとわかってあげらんなかったよね」
「!ユウ…」
「参謀なのに……パーの事も止めらんなくて、出所させるって期待だけさして、結局裏切って……」
アタシは、ペーやんの手を強く握り締める。
「愛美愛主なんかと、手ぇ組まさせて」
真っ直ぐ、ペーやんの目を見つめた。
「……ごめんね」
「っ‼︎」
バッと、ペーやんがアタシの手を振り解く。
「なんっ…何でテメーが謝んだよ!!?」
「だって…」
「やめろ‼︎悪ぃのはオレだろうが‼︎何で責めねぇんだよ⁉︎」
ガシッ
怒った顔をして、ペーやんがアタシの肩を掴んだ。
「……あっ、違っ!…わ、悪ぃ」
と思ったら、すぐ焦った顔になって手を離す。
そんなペーやんを、アタシはじっと見つめた。
「ペーやんは、自分を責めてンだろうけど、アタシだって後悔してる……だから、謝るんだよ」
後悔だけで済ませんのは、好きじゃないから。
「謝んなきゃ、ちゃんと向き合えないでしょ」
「!」
ペーやんは驚いたように目を見開いて、口をギュッと引き結びながら俯いた。
「……ごめん……」
そうして発せられた謝罪の言葉に、アタシは「うん」と頷いて返す。
普段の彼からは考えられない、消え入りそうな声だった。
「……スーッ」
「?」
「──だああぁああああ‼︎くそがッ‼︎」
「は⁉︎」
突然、ペーやんが奇声を上げた。
アタシはビックリして一瞬止まったけど、すぐに近所迷惑になると焦ってペーやんを止める。
「静かに!いきなりどーしたの⁉︎」