第5章 8月3日
マイキーの手当てを終えると、アタシは立ち上がりマイキーの隣に腰掛けて、自分の手当てを始めた。
最中じーっとマイキーが見てくるもんだから、居心地悪くてやりにくいけど……気にしないようにする。
「……はい、ちゃんと手当てしたよ」
包帯を巻き終えた左腕を上げて、アタシはマイキーに見せつけた。
マイキーは「ん。」と一つ頷いて、アタシの左手を握る。
指を絡ませるようにしながら、長椅子の上に下ろした。
冷えてた指先が、マイキーの手の中で温もる……その感覚に、安心する。
その後はアタシも大人しく、ドラケンの手術が終わるのを待った。
◇◆◇◆
パッと、手術室の赤い表示灯の光が消えた。
「「「‼︎」」」
「手術が終わった…」
まもなく手術室の扉が開いて、中から医師達が出てくる。
「………」
アタシ達は唾を飲んで、医師の言葉を待つ。
「──…一命はとりとめました」
「へ?」
ポカンと間抜けな声を出すタケミっちに、医師は言葉を続けた。
「手術は成功です」
「「「!」」」
張り詰めてた緊張の糸が切れ、アタシは自分の口を押さえる。
「ケン…っ」
「よーーーっしゃあぁああ!!!」
漏れ出た声は、タケミっち達の弾けるような歓声にかき消された。
「やったぁー!!!ドラケン君が助かった!!!」
ガッツポーズして、バンザイして、全力で喜びをあらわにするタケミっち達。
「うっせーよ、オマエ」
そう言う三ツ谷も、目尻に涙を浮かべてた。
「ひぃーんヒナぁぁぁ」
溢れる涙も拭わず、ヒナちゃんに抱きつくエマ。
「よかった…ホントによかった!」
エマを支えながら、一緒に喜んでるヒナちゃん。
そんなみんなの様子を眺めながら、マイキーとアタシは長椅子から立ち上がった。
スッと、繋いでたマイキーの手が離れる。
「マイキー?」
「……トイレ」
アタシは歩き出すマイキーの、その手をもう一度掴み……ハンカチを手渡した。
歩いてくマイキーの背中を見送って、アタシは脱力してまた長椅子に腰を落とす。
「外で東卍(ウチ)のメンバー待ってるから、知らせに行くぞ‼︎」
「ハイ‼︎」