第5章 8月3日
「待合室どこ?」
「あ…こ、こっちです」
「和月」
「うん」
マイキーに呼ばれて、立ち止まってたアタシも一緒に待合室に向かった。
赤い表示灯が光る手術室と、その前の待合室にたどり着く。
そこには、エマとヒナちゃん、それに敦くん始めタケミっちの友人達の姿があった。
「ユウ…マイキぃぃ」
エマはずっと泣いてたみたいで、零れる涙を拭いながら、震える声でマイキーを呼ぶ。
マイキーは、エマの元に歩いて行くと、落ち着けるようにその肩に手を置いた。
手術室の前に立って、赤い表示灯を見つめる。
「……ケンチンはさ、昔っから言った事は絶ッ対ェ守る奴なんだ」
みんなは、そんなマイキーの背中を見つめていた。
「こんなトコでくたばんねぇよ。そんな不義理、絶ッ対ェしねぇ」
マイキーが、後ろのみんなを振り返る。
「アイツ、オレと天下獲るって約束したからな」
そう話す、マイキーの表情は笑顔だった。
「だからエマ、三ツ谷、ペーやん、タケミっち。ケンチンを信じろ」
優しく、力強く
「大丈夫だ」
みんなを励ました。
(そうだ…オレらがテンパってどうする?……やっぱ強ぇな…マイキー君は…)
長椅子に腰掛けるマイキーを目で追って、アタシは「ハァー」と深く息を吐き出す。
「……アタシ、外の空気吸ってくる」
「ユウさん……」
マイキーに背を向けると、タケミっちと目が合った。
こちらを心配そうに、不安そうにして見るタケミっちに、アタシは「大丈夫」と微笑む。
「タケミっち、ケンを運んでくれた事、ありがとね」
それだけ言って、アタシは待合室を後にした。
救急出入口から外に出てみると、駐車場には場地、スマイリー、ムーチョ達隊長と、副隊長達、それに隊員達が集まっていた。
みんな、決戦の後で疲れてるハズなのに、ドラケンの為にここまで……
「あっ、ユウさん!」
アタシを見つけた隊員が声を上げたのを皮切りに、全員の視線がアタシに向いた。
「ユウさん、ドラケン君の容態は⁉︎」
「副総長は無事なんスか⁉︎」
「刺されたって誰にヤられたんスか⁉︎」
「ソイツ今すぐブッ殺しに行きましょう‼︎」