第5章 8月3日
「マイキーが半間と戦ってる間に、残りの愛美愛主全部ぶっ飛ばしてやる‼︎」
「「「オオ‼︎」」」
アタシの声に応えるように、仲間の声が大きく響いた。
◇◆◇◆
ゴッ ドサッ
「ハァー……」
何十何人目かの敵を殴り倒して、アタシは大きく息を吐いた。
駐車場の地面には東卍の隊員と愛美愛主の隊員が倒れてたり、蹲ってたり……敵も味方も、既に満身創痍な様子。
ズキズキとした左腕の痛みに眉根を寄せながら、アタシは他に残った敵がいないか視線を走らせた。
そんなアタシの上に、大きな影が差す。
「!」
「くたばれッ!」
いつのまにか愛美愛主の隊員に背後を取られていた。
ソイツは、血走った目でアタシを睨みながら、手にある折れた傘を振る。
離れる暇はないから、アタシは受け止めようと右手を上げた……けど、
バキッ
「がっ!」
「あ。」
傘がアタシに届く前に、横から伸びてきた拳が、ソイツの頬を殴りつけてぶっ倒していた。
アタシは、拳の持ち主に目を向け、ニッと笑う。
「ありがと、圭介」
「気ィ抜いてンじゃねーよ」
「えーでも、今のは守ってくんなくても大丈夫だったよ」
言い返すアタシに、場地は「どーだか」と言って鼻で笑う……腹立ったからアタシは、場地の肩をバシッと叩いた。
「まぁ、でも……“今日も”みんなが守ってくれたお陰かな。アタシが無事でいられんのは」
「無事?」
アタシの言葉に、場地は眉間に皺寄せた顔をする。
アタシの正面に立って、グイッとアタシの左手を取った。
「……その腕の傷は」
「これはコケたの!」
「コケたぁ?走ってか?」
言ったらバカにされそうで言いたくなかったけど、走って転けたって言う方が恥ずかしいから、アタシは正直に「バイクでスリップした」と答えた。
「バッ…」
ガシッと場地が、顔色を変えてアタシの両肩を掴んでくる。
「オマエが一人で運転したのか⁉︎」
「うるさっ!」
アタシは三ツ谷にしたのと同じように、緊急事態だったからと説明した。
場地は深刻な表情で、「よく生きてたな」と三ツ谷と同じ事を言ってくる。
「ホントにうるさい」
自分が運転下手なのはアタシが一番よくわかってンだから、そんな何度も言わないで欲しい。